Sisyphus descending from the summit-2
米ニュージャージー州ビバリー公立学校で教育指導を行うホーンベック氏は、たった3個の積み木を積み重ねるよう言われた子どもたちが戸惑う様子を見て、「積み木を見たことがないかのようです」と表現する。「どういう風にするかを教えたあとでも、子どもたちが取る行動には驚くばかりです」
現代の子どもたちは、重要な「微細運動能力」を失いつつある。微細運動とは、靴ひもを結ぶ、ペンで字を書く、物を積み上げるといったときに必要な、細かく正確な動きのことだ。スクリーンタイム(画面を見ている時間)、生活習慣の変化、子ども時代の体験の変化といった要因が複雑に絡みあった結果だと専門家は指摘する。
コロナ禍の影響は?
微細運動能力の低下を新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)のせいにするのは簡単だ。パンデミックの1年目(2020年3〜12月)に生まれた250人以上の赤ちゃんを対象にした米国での研究によると、生後6カ月での微細運動テストでは、パンデミック中に生まれた赤ちゃんは、それ以前に生まれた赤ちゃんよりも点数が低かった。この研究を行った米ニューヨーク大学グロスマン医学部教授のローレン・シャフリー氏は、この結果が胎児期ストレスの増加によるものなのか、パンデミック中に生まれた赤ちゃんが生後間もない時期に経験した、通常と異なる環境によるものなのかを判断するのは難しいと語る。親が共働きのなかで子どもが家にいる時間が長くなったことも、全年齢で子どものスクリーンタイムが増える要因となった。スクリーンタイムの長さは微細運動能力の発達の遅れと関連していることが、研究でわかっている。
2023年8月に医学誌「JAMA Pediatrics」に掲載された7000人以上の日本の子どもを対象とした研究では、1歳のときに画面を見る時間が1日4時間以上だった子どもは、1時間未満だった子どもに比べ、2歳のときに微細運動能力に発達の遅れがあるリスクが1.74倍になることがわかった。
・・・・・・では、子供の親は、そんな子供に何をしていたのか。
「理想的とは言えない状況の中で、親はすべきことをしていました」とシャフリー氏は言う。一方、米ラトガース大学全米早期教育研究所の共同所長のスティーブン・バーネット氏は、そうした傾向はパンデミック以前からあったと考える。「それまでにもずっと存在していた問題です」と氏は言い、パンデミックによって、すでにあった問題が加速したかもしれないと示唆する。
・・・・・・かなり信じ難いニュースではある。
駄筆「えっ、とおもいました。何にか、というと、じゃあ、人類生誕から積み上げられた遺伝子、DNAの機能、作用、影響はかき消されたのか、と。
主筆「同上、だな。私もそこんところはかなり不思議におもった。胎児期に母親のストレスが胎児に移行するものなのか。
駄筆「記事、続けますネ。/スマートフォンやタブレット端末、電子書籍、テレビなどの画面を見ている時間は、子どもが何かを作ったり組み立てたり、絵を描いたりする時間を削る。そうした端末を使った算数の学習やデジタルアートの作成は、教育効果はあるが、書く、切る、色を塗るといった動作に伴う細かな運動能力を育てることはできない。
また、微細運動と粗大運動(全身を使った大きな動き)の能力の発達に欠かせない屋外での遊びも減っている。「子どもたちは、穴を掘る、花を摘むなど自分ひとりでも楽しめる遊びをしていません」とバーネット氏は指摘する。
子育てに便利なものが登場したことも運動能力の発達に影響を及ぼしているとホーンベック氏は言う。
ファスナーやボタンの付いていない伸縮性のあるズボンは、忙しい朝には時間の節約になる。パックに入ったおやつは散らからない。だが、こうした便利さは、ファスナーの開け閉めやボタンの留め外し、食器の扱いを練習する機会を子どもから奪っている。/-to be continued.
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