時世録・49
なんだか、「出揃ったナア」という賑わいが地球を覆っている。ここにきて、脳梅毒の妄想で垣間見たニーチェの〈虚無〉は、心底見事に花開いた如くの様相だ。これだけ出揃ってしまうと、勝つも負けるもなんにもナイ。私たちはどうかんがえても悪性の精神異常をきたしている総理大臣閣下の手にある一冊の手帖に描かれたパラパラマンガのポン知恵(これでイイんてすよポンチ絵ではなくて)に「おい、大丈夫かい」などといっている暇も間もなく、特攻隊となった人生に終止符を打たねばならない。
と、これは悲観でも悲嘆でもナイ。『魔の山』のラストシーンを飾るハンス・カストルプの大滑降を『ペスト』の医師リウーの眼差しでやりぬくchanceだとおもえばイイ。怖いもの、恐ろしいものはもう出揃ったのだから。やっと「そうか、ここが地獄だったのか」という実感を覚悟して受け止めるべく、「そんならそれで、やらざるべきものなどナイ」とハムレットのdilemmaも解消するというところだ。終末のヨハネ黙示録の喇叭に間に合ったのだ。「おおっ、蕎麦屋かっ」と俵星玄蕃の如く、槍を翳して仁王立ちですよ。
病んでも生きた甲斐はあったなあ。
さて、蕪を煮てこよう。今夜は農園の蕪とほうれん草の煮物と、なんだか知らんけど、輸入ものの、鳥の足の燻製だ。メリークリスマス。
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