時世録・45
『ブロードチャーチ~殺意の町~』でみる英国(ミステリ)の凋落。
ずいぶんとアホらしいものをみせられたので、ちょっとレビューを覗いてみた。これがまた莫迦な行為だと理解するのに15分ばかりかかった。
『ブロードチャーチ~殺意の町~』は10年前の英国テレビ・ドラマで、シーズン3まであるのだが、私がみたのは「1」だけだ。別にネタバレとかは気にしないでイイ。このミステリ・ドラマの方法論は、ともかくアヤシイ(犯人かとおもわせる)人物を次々に仕立てていき、もっとも怪しくナイものが真犯人になるのだが、全8話において、その犯人における情報が殆ど無い。情報はアヤシイ連中に集中する。ブロードチャーチという英国の田舎リゾート地のハナシで、冒頭はなんとなくかのデビィット・リンチがミステリをと、驚かせた『ツインピークス』を彷彿させる雰囲気はある。あるのだが、リンチ演出や出演者の演技と根本的に異なって、それぞれの俳優の演技が未だにシェイクスピアを引きずっているような、日本でいうところの「クサイ芝居」ばかりなのだ。一般的にいうと大袈裟。こういうのはもう大河ドラマでしかみられないのだが、これが、レビューを読むと「演技がすばらしい」になる。ああ、そうか、配信営業メディアだもんな。☆4つ以下でも3,5までで、100ばかり読んだが、ミステリ自体に疑問を呈していたのは一つくらいしかナイ。それも、俳優〇〇の演技が良かったからヨシとする、てなことになっている。信用できないのは報道メディアだけじゃナイのだ。うちはこんなスゴイ人気のドラマを配信していますよで、「レビュー宣伝」しているのだ。整体が☆五つネット情報に提供すると、一回無料にします、なんてヤっているのと同じ。
ミステリの本場はアメリカじゃありませんよ。イギリスですよ。この凋落は、英国の国力の凋落とほぼ同じ推移で起こっているような気がする。大英帝国などすでに歴史の墓場に埋もれているのだが、ミステリまでなあ。女性ミステリ作家の80%がアルコール依存だというのも、ワカルなあ。P・D・ジェイムズの『皮膚の下の頭蓋骨』を読んで、もうどれだけ年数が過ぎ去ったことか。作家は故人となり、あの作品を読んで「このひとのホンは読まないほうがイイ、書けなくなる」とココロに刻んだのは十代の頃だっかも知れない。
いま、この『ブロードチャーチ~殺意の町~』というハナクソ・ミステリを観て、なんでもかんでも、「オワ」だなあと、愚痴いいたくなったので、ここでいってみた。そんだけ。