アト千と一夜の晩飯 第四十七夜 little think・2
〇「悟り」というものには〈ルール〉があります。
① それ(悟り)は釈迦と「同じものでなければならない」
② それ(悟り)は釈迦と「同じものであってはならない」
これを「悟りのparadox」といいます。「悟り」は主に禅宗が重視した修行の目的です。(浄土系の宗派には「悟り」そのものがありません。従って菩薩という存在もありません。もちろん『般若心経』も読経しません)
では、このparadoxは文字通り〈矛盾〉なのでしょうか。
そうではナイのです。仏教用語でいう「不説」ではアリマセン。このparadoxからが悟りを拓く修行の始まりです。修行といえど、密教修験道のように危険で厳しいものだけをいうのではありません。火渡りなどのperformanceもまったく無縁です。山奥の日常からかけ離れた場所で悟ったところで、山から降りてくればたいていが役にたたないものばかりです。病傷が回復したり、超能力が身についたりするワケでもありません。
ここで、ひとつ、hintになるepisodeを挙げておきます。釈迦は阿南と説法をひろめる旅をしていました。あるとき、阿南がついつい口にしてしまいました。
「お師匠さま。私はこうして何年もご一緒に旅をつづけておりますが、悟ることなど何もありません。仲間たちはサンガ(宿坊・修行場)で毎日修練しているのでしょうが、私はいつまでお師匠さまと旅をつづけねばならないのでしょう」
釈迦は阿南に応えました。
「私が入滅の後、そこいら中の弟子たち高僧と称される者たちは、誰がイチバン私のコトバを理解しているか、誰が悟った者に近いかと、寄り集まって談合会議をするだろう。そのような集まりこそが危ない山間の夜の闇なのだ。阿南よ、私はおまえに私たちの行く手を照らす灯籠を預けた。灯籠は山間の夜の闇を照らすだろう。その灯のなかで観てごらん。魔物、妖怪がうようよしていることがワカルだろう。けれども、その灯で邪悪なものたちは私たちに近づくことすら出来ない」
釈迦の予想どおり、入滅後、何度も結集(けつじゅう)という会合が開かれました。阿南は位が低く羅漢でもなかったのですが、一回目の結集のとき、釈迦と最後までともにあったということで、結集に招かれました。さまざまな「如是我聞」が披瀝されるなか、阿南に発言の機会が与えられました。阿南は「私は師匠の歩く夜道を照らすため,灯籠(日本でいう提灯のこと)を持たされていただけです。師匠が最期に申されたコトバは、/阿南よ、自燈明 法燈明だよ/です。この結集の場に在るのは法燈明ばかりです。
その後、阿南が結集に召喚されることはありませんでした。
〇塩対応 というコトバがある。/そっけない、愛想のない、冷淡な接し方/を指す云い方のことで、 いわゆる「しょっぱい」対応という 意味。 「しょっぱい」は主に味の塩辛さを表現する語であるが、この他に、表情などに不快さが表 れている様子を指すことがある。「(相手を)舐めている」という表現が連想されている場合もある。
と、辞書にはあったが、さて、岸田首相は育児休業中のリスキリング(学び直し)を後押しするとした自身の国会答弁が批判されていることを巡り「本人が希望した場合にのみ取り組める環境整備をすることが大事だ、という趣旨だ」と、訂正した。これは、当人の岸田首相がリスキリングしたほうがイイ。こんな答弁は詭弁にしか過ぎない。長男が外遊で購入したお土産を公費だというくらいだから、なかなかの「育児」をヤってらしたのだとおもう。ほんとにリスキリングが必要だ。
「防衛費」ならびに、そのものに対する「増税」に反対している国民は/心情的には/さほど多くはナイ。このご時世だ。「ちょっと実験でもやんべえ」とかいって、日本近海にでも戦術核弾頭ミサイルを撃ち込む確率のある近隣国家があるのだから〈アタリマエ〉といえばそうなのだ。
しかし、アメリカから購入する反撃能力のトマホークは、何処を防衛するのかというと台湾有事における沖縄諸島だというくらいは、これもよほどのうすのろ莫迦でナイかぎり国民はすでに識っている。ところが、そんなこときは国会でも与野党含めひとこともコトバにったことはナイ。沖縄方面軍の旅団が師団に格上げされてもだ。
もう、国会自体が間違った意味で〈異次元〉になっちまっているナ。
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