アト千と一夜の晩飯 第四十八夜 little think・3
そうでしたそうでげした。avecビーズlast evolutionが終了。これ書いておかないと、とはおもいつつ、思い浮かぶのはどうしても「花の命は短くて」と「枯れ木も花のにぎわい」というコトバで、そりゃあ、歳とるのは男女を問わず、富裕層、貧困層、聖人、悪人を問わずなのですが、いまはさらにマスク世界で、観客を送り出すときに名前をいわれてもまずワカラナイ。思い出すことは出来ても、一致しない。ラプラスの悪魔のせいだとしても、「生病老死」はニュートン力学世界においては〈線型決定論的微分方程式〉ですから、みなさん、毛髪は白く薄く還暦を過ぎた或いは間近の方ばかりで、なるほど、「生まれてきたこと・病むこと・老いること・死ぬこと」を「四諦(したい)」とした釈迦仏陀の慧眼や畏るべし。しかし、釈迦の修行はその四つの避けられぬ人生の悲劇をどう克服していくかという自問から始まったワケですから、凡人ながらもそれぞれがそれぞれなりの答をみつけるしかアリマセン。答が出なきゃそれはそれで答でしょう。
しばらく前までは、私も経団連御用達漫画家の『黄昏流星群』を読んではいましたが、あのお伽話にも昨今は飽いて(なるほど、あのマンガが女性に不人気なのもワカル気がしますが)、しかし『人間交差点』は原作(矢島正雄)の優れたるに最近また涙するようになってきているというのは、そうか、やはり私も七十歳の「老い」はそういうところにも出てくるのだなと、そっちの老いは「おいおい」くらいのものですが、なんと近頃は坂道を観るとため息をつくようになってきたり、登りきると(途中でも)息がきれるほうが酷ですネ。かなり壊れましたので、朝、目が覚めると、順番に壊れたところの記憶の蘇りから始まり、そうか、まだ生きているのか、今日も生きるのかと、布団から出ます。
最近「Quora」というサイトなのかなんなのか、「ダイジェスト」や「おすすめ」やらメールが入るようになって(というか、偶然そうセッティングしちゃったんですが)どうも海外に本部があるらしいようで、海外の方々や日本の若い方々、一般でも秀でた方々、なかなか侮れない方々のquestion-answerなんですが、これを読むのが愉しみのひとつ。解散公演とは関係ナイのですが、やんわりとリンクして/元女優だった女性が齢たぶん八十をこえて、腰が曲がりよろけそうになりながら居酒屋でお運びさんをしている。その方は肌身離さず女優だった頃の麗しい写真をポケットに入れてらして、しんどいときはこの写真を観るんだよと公言されて、お客さんの扱いや店の頑固オヤジのフォローもやさしくて評判/というのがありました。私はこのエピソードを良しとかアカンとかというふうには分割しないで、なるほど、そういう生き方もあるのだなと、感心はしました。
どういう生き方でもイイじゃないですか。私は「演劇」というものには遠に決着はつけていますが、今回の公演終了で、仕事としてもかなり気楽になった気分です。もちろん、いろんな人々を巻き込んでしまったので恨みつらみの矢面ではありましょうが、それならそれでヨロシイ。/自分の墓穴を掘るのはいつも自分であるという矛盾に気付いた人間はスコップを棄てる/、もういっちょ云っておけば「演劇よ汝を愛さず憎みもせず」おつかれさまでございました。
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