アト千と一夜の晩飯 第四十五夜 こまごまとごまめの歯ぎしり
〇岸田首相の所信表明を医院の待合室のテレビで観ていた。銭のハナシばかりだった。かつ、打出の小槌みたいなものを持っているような根拠の無い異次元の覚悟に聞こえた。要するに増税なんだな。カネはテンカのマワリモノと云ってのけたほうがまだマシだった。
「かわらんよ」。チェーホフの『三人姉妹』を下敷きにした川島雄三の『赤坂の姉妹より 夜の肌』(あんまりいいタイトルじゃないんだが)では、軍医のチェブトゥイキンに劇中劇としてのラストシーンにそういうせりふをボソッといわせている。岩波文庫では「同じことさ」だったかな。此の映画ではナレーション(ジョッキー)の語る西東三鬼の句「限りなく 降る雪なにをもたらすや」のほうがカウンターパンチになっている。川島監督は『三人姉妹』をボードヴィルとして書かれたという説に便乗したとインタビューに応えている。岸田首相の所信表明は文化、表現などについてはなあんにもいうてないので、ボードヴィルですらナイ。ナイ。ぜんぜん、ナイ。よって「わからんよ」というておく。
〇アメリカはウクライナに戦車を供与はしないと、私はおもう。NATOは幾つかの国が(おそらくドイツも折れて)それなりの戦車を提供するだろう。ドンバスの闘いは戦車戦の様相を予感させてきた。ここでの勝敗は良くて引き分けでいいと私はかんがえる。ウクライナが勝ったところで、戦闘に勝っただけで戦争に勝ったワケではナイ。ドンバスの地元の人々は、食うために政府系企業で働くか、ドンバス軍に従軍するかのどちらかしかない。親ロシア派の軍閥のために労働するか血を流すかの二択というワケだ。ドンバスの若者には仕事がなく徴兵に応じざるを得ず最前線に投入されることとなる。これはウクライナ人同士で殺し合うということだ。ロシアにとってはロシア人の戦死者数を少なくcountすることが出来る。ドンバス人の戦死者はロシア兵の戦死者として勘定しなくていいからだ。
〇avecビーズの舞台はいよいよ明日が仕込みゲネプロ。明後日から本番。日本は北極並みの大寒波だそうだ。劇場がビルの中だから、寒くないだけ、それだけはlucky。幸いは不幸中にしかナイからな。名古屋市中も雪かな。電車動くかな。観客、たいへんだろうな。胸が痛むと云いたいが、ただナンだか呆っとしているだけ。ここでも/限りなく 降る雪なにをもたらすや/だな。
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