last job 7
91~
91・「communication(伝達)」「記憶」「認識の同一性」」という〈了解〉の三点セットと「鬱病」「鬱疾患」についてもう少し探りを入れていくが、ここで、「communication(伝達)」に「独り言」という特異な形態も付け加えておきたい。
92・「独り言」は対自的なものだ。道を歩きながらブツブツと呟くものから、「日記」という文言に至るまで、その相手を自分にしていることから、小説のように読者という他者の存在を基本的、原則としては胸中に含まない(誰か他者をimageしての独り言もあるにはあるが)。さらにいうなれば、フロイトの『夢判断』における〈夢〉も言語そのものではナイが、「独り言」の範疇に含めることが出来る。
93・羅列が流れて恐縮だが、フロイトの『夢判断』を読んだかなりむかし、途中で嫌気がさしたことが思い出される。おそらくその理由は、当事者の夢に登場する事物、事柄をフロイトが何かに〈対応〉させようとしていることについての、精神分析的介入が鬱陶しかったのだとおもわれる。カール・ポパーのフロイトに対する「似非科学」というレッテルもまた、こういった一方的解釈が「反批判」を許容しない方法論だったからにチガイナイ。
94・「独り言」は「communication(伝達)」に含まれる対自的なものだが、「夢」においても他人のためにみているものではナイ。その点では即自的な営為だ。
95・ついでだから、フロイトの「夢」についての解釈を拾っておく。
/夢の素材は記憶から引き出されており、その選択方法は意識的なものではなく、無意識的である。したがって一見すると乱雑な夢の内容においても無意識に基づいた統合性が備わっており、さまざまな出来事を一つの物語として連結させるものである。それにはさまざまな狙いがあるが、一般的には夢とは潜在的な願望を充足させるものである。つまり夢は無意識による自己表現であると考えることができる。/
97・ここに何気なく「記憶」が顔を出している。「夢」が「記憶」から引き出されるものなのかどうかの判断は留意して、「95」を私なりに修正してみると次のようになる。
/夢の素材には記憶も当然であるが含まれる。夢が虚構であるのなら、記憶という現実が必要だからだ。その選択方法は意識的なものではなく無意識的である。無意識的である以上そこには「抑圧」の力が加わっており、一見すると乱雑な夢の内容は無意識に基づいた力の発散、放逐であり、統合性という合理をデコンストラクション(既存の枠組みや体系を解体し、新たに構築し直すこと)によって、さまざまな出来事を一つの物語として連結させるものである。それにはさまざまな狙いがあるが、一般的には夢とは潜在的な苦渋を希釈させるものである。それは無意識の消費による心的再生産であると考えることができる/。
98・「夢」が「独り言」のcategoryだとすると、それは多大なエネルギーを持った無意識であり、逆にいえば、「独り言」は、現実世界において意識的にimageを再生させる力を持っている。
99・この営為、構造で「独り言」の力を量子力学的に述べれば、それは「自らに自らを重ね合わせる」状態ベクトルだといえる。
100・「communication(伝達)」「記憶」「認識の同一性」」「夢」「独り言」、これらの量子ビットは、意識、無意識、超自我、のフロイト関連量子ビットに加えられて、鬱病、鬱疾患の本態へと近づいているはずだ。
つづく
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