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2021年9月23日 (木)

治か知か、チカチカ

いわゆるAI(人工知能)と称される計算機があって(そうですよ、あれは確率計算機ですよ)、そいつでプログラムした囲碁ソフトがあって、将棋のほうはアルゴリズムがそう面倒ではナイので、早くからそういうのが出来ていて、こいつはもうすでにヒトの将棋名人なんかを打ち負かして、ちなみにチェスはもっと早く出来ていて、これもすでに世界チャンピオンを打ち負かして久しく、しかしながら囲碁はアルゴリズム(algorithm、これよく使われますネ最近。簡単に言うと~計算出来るものに対する~「手順」とか「計算方法」のことです)が複雑なので、ヒトに勝てる囲碁マシンが出来るのは100年かかるだろうといわれていたんですが、もう出来ちゃっていることはご存知ですね。囲碁の藤井聡太三冠(19歳・最年少記録)は、これで独習したりするそうです。とはいえ、そっくり踏襲、模倣するワケではアリマセン。いちいち批評して取捨選択していくワケです(たぶん)。最近の新聞(テレビ)囲碁なんかでは、解説でも「これはAI流の打ち方ですね」とか「AIならここには置かないでしょう」てのがいわれたりしています。
で、100年といわれていたのがなんで、こんなに早く出来たかというと、それはもちろんAIがかんがえたのではなくヒトがかんがえたのです。それまでは、たとえば一万手順を1秒で読むなんて方法だったんですけど、それでもヒトには勝てなかった。ヒトはヒトらしい(つまりちょっとマシンには計算出来ないような)打ち方するもんだから。一万手以外の意外なところに石を置く。以外や意外ですな。そんな手はアルゴリズムには無いと計算機は計算出来なくて負けた。ところが、さすがヒト。「待てよ、何万手も先を読むというアルゴリズムは棄てよう。確率でいこう」当時、数学は「確率論」が流行ってましたから。(いまもですけど)。で、確率を計算させることにした。三カ所くらい置く場所の候補をつくる。で、それぞれ、何%の勝ち率があるかを計算する。と、そんなふうにした。これで、一挙にAI有利になって、ついに囲碁の名人まで負かしちゃった。スゴイね確率計算機は。(あのね、人工知能じゃナイんですよ。それは通俗的な呼称ね)。
ところで、この確率計算機との三番勝負に唯一、二勝一敗で勝ち越した囲碁棋士がいるんです。他の囲碁棋士が負けちゃっているというのに。それはあの、いまでは愉快なオジサンになっている趙治勲名誉名人、二十五世本因坊。治勲老師の解かれて(説かれて)いることは、私ふうに例えていうと、全自動洗濯機×盥(たらい)でヒト、が靴下(でもパンツでもいいんだけど)の洗濯競争する。8時間で何足、綺麗に洗えるか。確率計算機囲碁マシンとヒトとの囲碁対決はそれと同じことだ。です。てっとり早くいうと、「マシンとの闘いはあくまで囲碁ゲームであって囲碁の勝負ではナイ」ですな。ヒトに勝てるように造られた機械にヒトが勝てるワケがナイ。そういうのは勝負とはいわない。
私が書いた三十年前の戯曲『悪魔のいるクリスマス』では、コンピュータ社会とは、コンピュータには出来ないことをヒトが営む社会だ、と、生意気に述べております。「デジタル庁」というのは「こども庁」と連携、連動したほうがいいんじゃないの、なんか拡がりがチガッテさ。どやっ。

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