無学渡世・十三+珍論愚談 25
無学渡世・十三+珍論愚談 25
いま仏蘭西では、かつての芸術家たちの恋愛問題あるいは放蕩が取り沙汰されている、というニュースを読んだ。取り沙汰というのが何かというと、「それ」が是か非かだということが論議を呼んでいるということだ。
こういうことは、ひょっとすると、このCOVID-19禍において何かしら蛇のように鎌首をもたげててくるのではなかろうかと、ふと気になったことがあった。コロナ禍において、ヒトは統制を余儀なくされる。それは管理の範疇ではあるのだが、何かを剥奪されている、従属されているような錯覚(とも言い難いのだが)に囚われるのではなかろうかというmentalityがまとわりつくのだ。芸術は、おそらくそういうものへの反抗、叛乱だったはずだ。だから、そこにポピュリストの矛先が向かう。(矛先なんてどこでも何でもイイんだけどネ)
かつての芸術家(自称、他称に関わらず)の遊蕩などどうでもよいことでもあるし、それは芸術というものに見入られたものにとって必須の生活条件だったかも知れないともおもうが、一歩マチガウと、合衆国の前大統領や、現ブラジルの大統領のごとくに崖から転がり落ちてしまう羽目になる。英国王室の色素差別scandalも、同じような地平にあるような気がする。いまさら人種が肌の色がどうだというのだ。動転してんじゃないの。と、声を大にしてみると、はて、そうかなと逆の疑義に陥る。これが、ニーチェ曰く「暗闇を覗き込んでいるものは暗闇に覗き込まれているのだ」という類だ。私たちはいま、追い詰められた気分、心情のまま、世間のドタバタを覗き見ている。ところが、それは逆でそういう世間に自身が踊らされているのだ。
クマゴロ「科学なんか信用しなきゃそれで済む、なんてご隠居はいってたけど、ほんとにそれでイイのかい。
ニイちゃん「信用するんじゃなくて、いまはただ認識するに留まっているが正しいんじゃナイのかナ。科学は、こと医学に至っては信用する対象じゃなくて、単に認識する対象というべきなのかな。その認識、そう判断している自分自身が正しいのかどうかも奇しい。ワクチンは効果はある。しかし、そのアトが闇だ。治癒したアトの道のり、道標がまったくナイ。自燈明の明かりが揺らいでいるという感じだな。悪しき共同幻想のさなかを歩かされている気分だな。中華独裁主義帝国なんかは、いまなら、他国との同盟ならぬ限り合衆国と戦っても勝てるとおもっているだろう。合衆国も通常兵器での戦争は単独では中華に勝てないことを自覚しはじめている。ついこのあいだまでは、完璧に優位だったのが、この四年のあいだにひっくり返されてしまった。これは、シミュレーションの段階では、事実そうなんだから、バイデン大統領も足が地につかない。一国資本主義の欠陥は、自国も栄える部分が多いが、他国の先進性、急進性をゆるしてしまうってことだ。勝手にしろ、ということだ。それをトランプがヤっちまったからな。
クマゴロ「なんだかしらねえが、怖いよう。
ニイちゃん「そうなんだ、クマゴロさん。なんだか知らないが怖い。怖いし、恐い。恐いという漢字はいまはふつう使わない。たまに正しくはナイけど、自分もコワイが他人も同じだという場合、「恐ろしい」場所とか、「恐ろしい」出来事、のコワイは恐いになる。本来は常用漢字として怖いで事足りていることが、「恐怖」の「恐」が怨念の「怨」に酷似しているところから、心情的にいまの世の中は「恐い」になっている。コワイのなら「怖がって」いればイイと、おれなんかそうおもうように気張っているけどね。ところが、「恐がって」しまう世間になっていて、いまにも戦争が起こりそうだし、明日にでも地震が来そうだし、ワクチンの副反応で、一種のワクチン接種が中断されているけれど、ワクチンはウイルスに対しての免疫をつくることを目的にしているため、必ず副反応は起こる。その中でもやっかいなのが炎症性サイトカインと称されるもので、こいつが強すぎると、血栓が出来たり、死亡したりする。これを極力抑えるワクチンの治験が経験則だけで、今回の数々のワクチンは世に出された。これはたしかに「恐ろしい」ことだとおれはおもってるね。けれども、ケセラセラだ。起こるべきことは起こるべくして起こる。「仕方なく大急ぎで」承認されたワクチンだから、それまでの経験則が豊富でも、やはり弊害は出てくるんじゃナイかな。おれなんざ既往症が多いので、どの既往症がbattingするかワカンナイから、高齢者だけど、此度のワクチンは見合わせる。来年末まで、なんとか自燈明で予防して、第三相治験の終わったところでの、日本が自国製造したワクチンが出るまで待つよ。「恐い」のは「怖い」。けれども、何が「怖い」のかワカッテいれば、「怖さ」は「恐さ」から減少するだろう。
ともかく、ご隠居がいうように、おれは、COVID-19より、医学のほうが怖いのさ。ウイルスに変異種が出来ることは医学的にワカッテいることなのに、まるで、宇宙人襲来みたいに事を荒立てているメディアもダメだけど、正確に納得いくように応えない医学もワルイ(というか、研究が足りない)。
クマゴロ「でも、こええなあ。
ニイちゃん「しかし、ケッキョクこええのは、こええ、こええと恐がって包丁振り回す、ニンゲンのほうだぜ。
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