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2020年12月 7日 (月)

珍論愚談 3

珍論愚談 3
ようやくご隠居を寝かせ付けた(朝っぱらからなのに)クマゴロとニイちゃんは、brunchでも行くかと地下鉄のホームへ。
と、叫んでいる若者がホームにいる。
「要するに愉しければイイんだよっ」
もちろん、マスクなんてしていない。近寄らないで欲しいね。とニイちゃんとクマゴロはおもう。だいたい、コロナ鍋を食いすぎるとこういう自棄糞の与太epicureanが出てくる。ケツ割りの放擲一派なんだけど、ご当人はまあどうにでもなりやがれとして、あれだけ唾を飛ばされてちゃたまんない。ニイちゃんとクマゴロは飛沫を避けるようにして、ベンチの影に身を潜めると、そこにも変なのがいる。
「だいたいみなさん。女がね、女が子供を産まない。これがイカンのですよ」演説派だ。
「むかしの女はね、平均七人は産んだ。いまはどうだ、三人にひとりしか産まない。つまり、三分の一の赤ん坊が出産される。ある女は頭部、ある女は胴体、ある女は脚部と産む」
そんなことがあるワケねえだろ、とクマゴロさんが小声でいう。
「私はね、産みたいという女にね、懇願されましたよ。しかし、私には妻子があるんです。愛人、妾に子供つくってたらどうなります」
あらら、ハナシが微妙になってきた。混乱錯綜のご様子だ。
「ですからみなさん、まあ聞いて下さい。日本にはかつてのナチス・ドイツのヒトラーのような独裁的妊婦が必要になるのです。これは現代の科学的な問題なんです」
アカン。もうわからん。ニイちゃんとクマゴロさんはため息をつく。
「私は、いまここで、子供を産もうとおもっているんです」
ベンチの男は、ズボンを降ろして、パンツも脱いだ。
クマゴロさん、慌てていう。
「ニイちゃん、アカン、こいつ、ここで糞こくつもりのべらぼうするつもりですぜ」
と、現れた地下鉄職員。取り押さえるかとおもいきや。
「教祖さまっ」と、平伏(ひれふ)した。
「クマゴロさん、なんだか、気分が悪くなってきました。頭がヘンに、いや、もうヘンなんですけど、地下鉄やめて、外に出ましょう」
「そうするのがいいようでげすな」
外に出たってどうなることでもナイのだが、積極的撤退でい。
ああ、歩いても歩いても泥船のように、ニイちゃんとクマゴロはブルーライトなのだった。

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