港町memory 145
まず、とある「明るいんっんっ」ニュースを紹介しておこう。ニイちゃんとおばさんが院外処方箋薬局の入り口付近でラジオ体操をしているうちに。
/新型コロナウイルスの感染爆発が起きたブラジルのマナウス地域で「集団免疫」ができ、流行が下火になったとする研究論文が発表された。/のだそうだ。9月に英医学誌ランセットに載った米国の透析患者の血液を解析した論文では、感染歴を示す抗体保有率は高い地域で27.6%、平均で9.3%だった。スウェーデン政府の調査ではストックホルムが12%だった。日本の調査では東京や大阪でも1%未満だった。そこへきて、マナウスでは「集団免疫」だ。つまり、ブラジルのマナウス地域では、/新型コロナでは基本再生産数が2.5だとすると、集団免疫閾(しきい)値は(1-1/2.5)x100 = 60%となり、6割の人が免疫を保持することが流行を止めるために必要であることが示唆されます。(宮坂昌之老師曰く)/ということが計算上起こったというのだ。/致死率や重症化率を下げる新型コロナのワクチンが確立しないままの集団免疫の獲得戦略は、大きな犠牲を払う恐れがある。/のだが、それが、現実のものになったということになる。/通常の風邪の原因となるコロナウイルスも再感染するが「感染のたびに抗体が増えて免疫が強化される。感染を重ねると症状が軽くなるか無症状になる」(国立感染症研究所の松山州徳室長)。/という御意見は、あくまで「通常の」という理(断り)がついている。事実、COVID-19にいたっては、再感染者の容態は一次感染のときよりも悪いのだ。このCOVID-19、ちょっと狡猾な上に戦略が巧妙だ。先に記した宮坂昌之老師の計算法からいけば、マナウスでは、六割を超える人々がすでに感染していることになる。そうしてめでたく「集団免疫」獲得なのだが、ここで、今一度、宮坂昌之老師のコトバをおもいだしてみよう。/今まで集団免疫は、獲得免疫の、しかも抗体というパラメーターだけを見て判断していましたが、私は、それは間違っているのではないかと思っています。/(パラメータとは特定の事象や対象や状況などを決定したり分類したりする助けとなる任意の特徴量を言う。つまり、パラメータは、状態や振る舞いの評価、条件の特定などに際して有用あるいは重大な役割を果たす要素となるものである)。
要するに単純に六割の人々の感染という危険な経過(パラメーター)を経て、マナウスでは「集団免疫」を得たというのは、やや早計であるし、ここでも計測の精度が問題になるはずだ。よって、単純に「明るいんっんっ」ニュース、と諸手を挙げるワケにはいかないだろう。
産学共同のワクチン、治療薬は足踏み状態だということは前述したとおりだしなあ。
いましばらくは、私たちはニイちゃんやおばさんのように院外処方箋薬局の入り口付近でラジオ体操をしつつ、このかなり手強いウイルスへの「反撃」をかんがえなければならないだろう。
「んで、でけんのかいな、反撃とかいうの。もう、わしはケツ割るで」
「とにかく恐いのは、〈油断〉と「連鎖被害」です。オレたちゃ、人類絶滅の現在(いま)を生きているんですから」
と、また、ええカッコいうて、ニイちゃんは右膝関節炎、左膝半月帯断裂、右肘腱鞘炎、頸椎損傷の痛みに耐えて院外処方箋薬局の入り口付近でラジオ体操をなんでか、やってるのであった。痛いんやったらヤメえや。
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