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2020年10月18日 (日)

港町memory 144

港町memory 144

きたかチョーさん、待ってたワケではナイけれど。
ニイちゃんは屈託した顔で院外処方箋薬局の入り口付近でラジオ体操をしているおばさんをみつめていた。
ニイちゃんの脳裏にあったのはCOVID-19の「連鎖被害」のことだ。そのなかでも、もっと忌避すべき「連鎖差別」というものだ。
/「この顔に、ピンと来たらコロナ注意! 今治で初コロナ感染」新型コロナウイルスの感染者を誹謗中傷するチラシをバラまいたとして、愛媛県今治市の古物買い取り会社代表の野間翔太(26)と自動車整備士の岡本賢矢(26)の両容疑者が13日、名誉毀損の疑いで県警今治署に逮捕された。/(アットニフティニュース)
こういう手合いには、COVID-19を肺いっぱい吸入させればイイのだ。
/実は公表の前日、感染者の陽性が判明した時点で、一部で男性の名前が特定され、情報が爆発的に広がっていた。「〇〇が飲みに行きました」と感染者が出入りしていたとされる飲食店約10軒がリストアップされ、LINEで拡散されていた(同)/
SNSに善悪などはナイ。SNSは拳銃ではナイといっているのと同じで、人を殺すためのアイテムではナイということだが、ヒトも人心も殺すことが出来る。
/現地で飲食店を営む店主がこう振り返る。「LINEが回ってきた途端、街から人の姿が消えました。リストに載っていたスナックはちょうど周年記念で、店の前に飾ってあった花とスタンドが何者かに倒された。嫌がらせや『感染者がいるのか』といった電話が100件以上かかってきたそうです。この辺りの売り上げは、軒並みダウンしました」・・・別の飲食店の経営者もこう嘆く。「被害者の方はうちのお客さんではなかったのに、リストに載っていたため、直後から予約のキャンセルが相次ぎました。何の連絡もなく来なかったお客さんや無言電話もありました。狭い街ですから、すぐにSNSで噂が広まりました」/
これらは、「連鎖被害」の、直接被害からの深化、あるいは拡張していく〈関係の確率性〉の誤解(関係のナイものをさも関係があるかのように結びつける)のprocessを目の当たりに描いている。/『感染者がいるのか』といった電話が100件/は、やがて、「感染者と接触したものはいるのか」「感染者の友人はっ」「勤め先は」となり、「結婚はゆるせません。あの家の親戚には感染者が出たんですよ」と、かつての被差別部落民差別と似たようなchartとなる。私の祖母は京都の被差別部落出身者だったが、なにかの理由で日本から脱出しなければならないまでになった。(積極的に出たのかも知れないが)戦前のことゆえ、それが合法的な移民だったのかどうか、ワカラナイのだが、かのマレーの虎ハリマオと一緒に馬賊をやっていたらしく、ハリマオ捕縛投獄のあたりで帰国している。
と、そこまでニイちゃんの脳裏がハナシを広げていたかは別にして、
「うっとこは親戚縁者ちゅうのが多いねん、ほんなもん、誰かは感染しとるわ。ついでやさかいにラジオ体操第二までいっとこけ、と」
おばさんは、カラダ全体を使うわけではないので、手足を蛸みたいに動かして盆踊りしているかのようにみえる。おばさんくらいの年代のものは、ラジオ体操とは縁が深いのだ。そもそもラジオ体操は、帝国海軍において基礎体力向上のために考案された。それが、庶民に降りてきた。従ってキチンとやると、けっこうキツイが、速く歩いたりジョギングだったり、ジムだったり、岩盤浴だったり、ヨガだったり、スクワットだったり、なんかよりはほんとうは安全で効果があるのだ。「ゆっくり大きく、正しく」身体を動かすことが基本だからだ。そうして、この体操はそれがそのとおりに行われているかどうかが一目でワカル。この体操は、正しくヤルと、/動きが美しい/のだ。
おばさんの泥鰌すくい程度ではどうにもならないが、気休めもまたmentalにはタイセツだろう。
ニイちゃんはおもう。
「COVID-19に追われている。それが現在(いま)なら、ジョン・ウィックのように、追ってくる敵に対して出来るのは、同等の〈反撃〉、だな」
ニイちゃんは、スグに格好イイ妄想に陥るからナ。ジョン・ウィックが院外処方箋薬局の入り口付近でウロウロするかいな、ほんまに。
「攻撃は最大の防御なり、というのは、あれは囲碁の格言に過ぎない。そんなことを知っているのは、囲碁ファンの中でも少ない。まるで『孫子』に出てくるような格言だからな。けれど、『孫子』には、それと逆のことなら述べられている。なんだったかな、孫子の兵法には、「攻撃は・・」なんてことはいわれていない。その代わり、守備、守ることのタイセツさはあったとおもう。COVID-19から、心身を守る。防衛戦だ」
ニイちゃんは院外処方箋薬局の入り口付近でラジオ体操を始めた。ただし、おばさんよりは正確な。せめてブロガーの祖母くらいには/恐れず侮らず/の防御にはなるかもしれない・・・かな。

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