港町memory 120
今週いっぱいまで続く豪雨、九州が終わったら前線は東に移動するらしい。
すでにショボ降る名古屋の院外処方箋薬局の表。どういうワケか、おばさんもニイちゃんも中では待たない。別に予期していたワケではナイが、
「なんや、けっきょく、空気感染しよるんやな。わてもな、エアロゾルがあるのになんで空気感染せえへんのかようワカランかったけど、専門家委員会は〔議事録〕残って、というよりハナからつくってへんらしいから、それについては謎や。あいつらよっぽど自分の理屈がアトでマチガイやといわれるのが恐かったんやなあ。医者も科学者やろ、科学はまちごうてええねん。独りのもんやないんやさかいにナ。もう医療崩壊やのうて、医師崩壊やな」
「しかし、ほんとに謎は残りますね、議事録がナイから、専門家さんたちが、クルーズ船の感染経路をどう判断していたのか、ワカランですね」
「そんなもん、〔夜の街〕と一緒や。どっからどこまでを〔夜の街〕というてたんかワカラン。なにかというたら、夜の街やからな。あんた、新聞、読んでるの」
「電子版で日経を」
「ほんなら、うちも一緒や。日経は記者の賃金が全国紙ではイチバン高額やから、記者も余裕あるみたいやな。朝日、毎日みたいな下手を打ちよらへん。中日(東京新聞)は、真面目過ぎてもう、可哀相になってくるワ。マトモなこというとんねんけど、それが高校生の有権者の発現程度にしか読めてこんちゅうのが、いまの日本の世間やねんな」
「何処が先駆けて取り上げるかとおもってたら、意外に日経でしたね、夜の街」
「〔春秋〕やろ、当たり障りナイ記事やけど、あんなもん、道楽で会社のエライさんが書いてるだけやさかいにな。/ネオン、涙、男と女、酒場……。昭和の歌謡曲には、こういう言葉がよく使われた。ため息、こぬか雨、ゆきずり……。盛り場の濃密な匂いをまとった歌を、みんなが口ずさんだものである。実際に人々はそこにひとときの愉楽を求めて集い、ロマンを見いだしたのだ。/これ、文学かぁ。「盛り場の濃密な匂いをまとった歌」やて、こんなん、男は口ずさんでいたんか。ロマン見いだしてたん」
「うーん、どちらかといえば、そういうのより、三橋美智也さんとか、田端義夫さんの郷愁もの、哀愁もののほうが多かった気がしますけど。 演歌は女性歌手が歌うと愚痴になりますし、男性歌手の場合はいいわけがましくなりますね。むかしは、もちっとベタはベタでもコロナが出てもそれが逆に哀しいと、η泣けた泣けたこらえきれずに泣けたっけ、このフレーズとかいいですねえ。トリス・バーでショットして、可愛いあの娘の横顔みながら帰途につき、ああ、家では、花の命は短くてが股ぐら火鉢で待っている。そりゃあ、泣けますよ」
「ニイちゃん、あんた、だいぶんに女にイジメられてきたクチやな。いまは、ホストの店でコロナが出ると、感染者の女、ベロキスしよったな、とかおもうねん。夜の街が耳障り(耳触りではナイ)になってから、下品な妄想しかでけんようになったわ」
「/「夜の街」。いつの間にか世に知れわたった、このあやふやな言い方はだれの考案なのだろう。どこか蔑みのニュアンスを感じるという声が少なくない/。とかいってて、安いところで済ますからですよ。とはいえ、高い銀座で飲んでた芸人さんもハナにやられましたけどね。安倍ちゃんなんかは自粛解除の晩から三日間、三連ちゃんで基本一席5万円の夜の街で呑んでたみたいですけど。名古屋でも、けったいなとこヘ行くより、白壁町で芸者さん呼んでもそんなにかからんですよ。花代も2~3万ですし、絶対に客に退屈させないという決意と覚悟の芸がみられますし。まあ、一見はダメというのがツライですけど」
「札幌のススキノ、大阪のキタとミナミ、博多の中洲、おばさん、ぜんぜん知らんとこばっかしや。ああいうのが夜の街か」
「それだけじゃナイような気がしますけど。ηよってらっしゃい、よってらっしゃい、おにいさん、で寄っていって、酔っていって飛び降り自殺されるのもイヤですが。私は外呑みしないんで、じっさい、夜の街というのがどういうのかは、取材でしか知らんですね」
「ええなあ、物書きは、呑んでも必要経費で落すんやろ」
「ビール、コップ一杯ですよ」
「雨よ、夜の街に降る雨よ、私の涙とともにコロナウイルス流してよ、どや、文学やろ」
「空気感染の次は、水路感染になるみたいで恐いですよ」
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