港町memory 117
「ニイちゃん、あんたもたまにはマシなこというな」
何かいったかな。と、私は怪訝におばさんをみる。院外処方箋薬局の例のところ。
「あんた、まえ~に、医療崩壊は、コロナ最前線で起きているのではナイ、てなこというてたやろ」
忘れてしまっているが、いったような気もする。
「開業医の医院でも起きてる、いうてたやんか」
ああ、そんなことをいってたな。
「なんや、ぎょうさん、開業医が倒産たら休業たら経営行き詰まりたらいうてるで、テレビ」
「ああ、患者が来なくなったんでしょ」
「なんでやの」
「そりゃあ、拒絶したら、来なくなります。患者を玄関払いしたんですから、これからもう患者は玄関にも勝手口にも来ませんね」
「どこの医院もがら空きで、子供らの予防接種も半分くらいしかこーへんのやて」
「院内感染をうるさくいったからてすよ。だいたい、医者が疾病の予防対策が出来ないというのがオカシイとおわなかったのが、そもそもオカシイんです。防護マスクに防護服着込まないとP検査も出来ない、と、ハナから思い込んだ。これは、厚労省が、開業医療機関でも出来るP検査のguidelineをまったくつくらなかったのが悪い。判定能力が劣るのはアタリマエですが、簡易キットはあったんです。いまでは、たいていの医療機関で、血圧すら、電子血圧計、体温は電子体温計が測定しています。これは機械ですから、判定誤差は大きいし、判定結果にマチガイも多い。けれども、だいたいのところはワカル。第一次的にそうすれば良かった。それに、たとえば眼科をかんがえてみればいい。眼が赤く痒みのあるひとは、感染症かも知れませんから外で診ますので待合室への入室はしないでくださいと、ちゃんと表に書いて貼ってある。同じように開業医のほうも「コロナかもと、おもう方は、外でみますから・・・」と貼っておけばいい。ボックスカー一台借りるだけですみます。それを「入る前に電話してください」で、電話すると、熱があるなら保険所へ行けといわれる。保健所電話すると、忙しいのでP検査は何日後、が、いいほうで、「いま、出来ません」といわれる。で、「連絡あるまでしばらく自宅待機してください」といわれる。自宅に待機してたら、飯でも運んでくれるのかというと、そんなことは絶対にナイ。寝ているあいだに衰弱、重篤化してあげくが救急車。こういうのは医療崩壊ではなくそれ以前の医療システムというものが日本にはナイという証左です。医者、医院も餅屋と一緒です。売ってるものがチガウだけ」
「ほな、つまり、もう、あの医者には行かんとこ、に、なるわけや。餅屋も餡子がようないと買わへんわな」
「医療崩壊なんてのは自業自得です」
「そやなあ、患者に来るないうといて、来んようになったら、来てくれたかたにはビタミン注射一本サービスしまっせくらいせんとな」
「ビタミンではあきませんね、アンフェタミンくらいでないと」
「そういうたら、増えてんのやてな、ポン中。コロナ自粛で、ストレスで、ついつい手を出す覚醒剤やねんてナ」
「暴力団も他のシノギが出来ませんから、ここぞとばかりに大バーゲンだったんでしょう」
「とはいえ、その、なんや、最前線では、医療従事者とかが、どんどんコロナに感染してお亡くなりになってんやろ。それって、自粛緩和になったいまでもおんなじか」
「同じですよ。まあ、アト2年は踏ん張らないと、ワクチンもいきわたらないでしょうし、抗体寿命が短いようですから、さて、役に立つかどうか。いずれにせよ、他滅に自滅、でしょうねえ。国士いま何処ですね」
「そやのに、まだ、東京オリンピック、やるいうてたで、テレビ」
「惚けてるんでしょうねえ。予算が最初は数千億だったのが、3兆円まで膨れ上がり、選手村アトの夢のようなタウン構想もおじゃん。東京都は破産。そらアカンと都債発行。無理に開催したら、夜の街どころか昼の観光地も外人さんいっぱい、Virusいっぱいて爆発的コロナ第二波。今度は国もマスク二枚を出す銭もナシ。よし、こうなったら、国民から「コロナ救済税」取ったらどうだ。十万円配ったから、半分の五万円を税金でとるとして、100兆円くらい取れるで。銭は天下のまわりもんや」ですね。崩壊は医療だけじゃありません。つまりは日本が崩壊します。ダメ押しに富士山噴火と南海プレート地震かなあ。そうして、中華が日本を領土化して」
「ああ、もう、聞きとナイわ。わてらに老後はないのかいな」
早く氷河期来ないかな。雪降る中で、氷ついた荒野に座り、ウイスキーを転がして、歌でも口ずさんで眠りたい。わたしはそうおもう。
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