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2020年5月12日 (火)

港町memory 107

院外処方箋薬局の昼休みが終わって、も、おばさんはすぐ外のベンチで腕組みをしていた。
「どうしたんですか。クスリに疑問なら、薬剤師に聞かないと」
「ああ、あんたかいな。そやないねん。さっきもテレビ、日本はP検査がアメちゃんや韓国とかに比べてメッチャ少ないいうてたで、なんで、もっとやらんねん、人手不足なんかいな。それとも、サボッとんのかいな」
「おばさん、P検査ピー検査とやかましくいわれているけど、あれ、何の検査か知ってるんかいな」
「そら、コロナに罹っとるかどうかの検査やろ」
「つまり、PCR検査でどうなったら、コロナということになるんかな」
「なんや、陽性が出たらアウトなんやろ。しかし、陰性が出てもその場限りいうことがあるしな、次の日は陽性になっとるかも知れんしな。まあ、難しいもんやちゅうことくらいは知ってるで」
「おばさん、テレビ、テレビと、けっこうテレビ観ていますねえ」
「観てる観てる」
「そうしたら、視聴率は知ってるでしょ」
「そんなもん、うちの猫でも知っとるワ」
「あれは、どうやって算出するのか、知ってるか」
「そんなん、機械があるのとチガウんか」
「おばさんの家に、そんなもん付いてるんか」
「うちは付いてナイ。いや、そんなもん隣にも無いで。町内で在るのん観たことも無いけど、何処に在るねん。 あれは、電波かなんか飛ばして調べとるんとちゃうか」
「視聴率調査はちゃんと、そのための仕組みがあるんです。統計学というもんでしてね。ネットに書いてあったとおりにいうと/統計学の理論に基づいてテレビ所有世帯から無作為(ランダム)に対象世帯を選びます。ただし、テレビ局関係者のいる世帯、 病院・事務所・寮などは除きます。/つまりですな、先に〔対象世帯〕というのを決めて、そこの世帯には、switchだけのワカリヤスイ機械を付けさせてもらって、手間がかかるけど、番組を観始めたらスイッチをon、やめたらoffにしてもらうと、それがセンターのcomputerに送られます。その集計から試聴された率を出すという、ある種のalgorithmでヤってます。予め誤差も計算過程の中に含むんです、別の例でいうと、濃度がほぼ均一になるようにつくられた寸胴鍋にスープをつくって、スプーン一杯で味をみると、その一杯で、全体の味がワカルというそうい仕組みですネ」
「それとP検査とどういう関係が、あっそうか、全部を調べんでも、スプーン一杯分のP検査でええちゅうことか」
「ビンゴ。そうですね、国民、県民、市民、都民全部いっぺんにヤったら、病院に陽性押し寄せてパンクしてしまいますから。つまり医療崩壊というやつですネ。だから統計を使う(とはいえ、ほんとにそんなことを行政がしているのかどうかは知らん)しかし、これは陽性率の分布に均一性があるかどうかがワカラン、というかワカリニクイ。ですのでアテに出来るかどうかはワカランけども、その日の死亡者の数、あちこちでばたばた死んだりしてませんから、これはもうはハッキリしているから、まあまあアテにしてエエということかなあ。ほんとは、そういうことは数学の確率論とcombinationとって、エビデンスがハッキリ、シッカリの新しい統計理論をつくったほうがエエんですけどねえ。患者数、その日のP検の陽性率で一喜一憂しているあいだは、緩和したら危険ですね。油断して韓国みたいになっちゃうからね。自粛も自主自粛がイイ。政府、行政の自粛要請は、~いつになったら終わるねんっ~と焦燥をもよおすだけですからね」
「そやねん、もうイライラで嫁と喧嘩ばっかりしてるわ。一句でけたで」
/コロナ禍や嫁と喧嘩の自粛かな/と、おばさん、なかなかうまく詠んできました。
/喧嘩(でいり)といえど出入り出来ず/と付けました。

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