港町memory 104
おばさんは、こう静かにまくしたてた。あくまで静かに。ある日の院外処方箋薬局のお昼前。
「昨日(きんの)な、日本維新の会とかが、国会で初めて/いつこの事態が収束するのか、そこをはっきりさせないと、国民の不安はつのるばかりではないか/。質問しよってん。これって、みんなが知りたいとこやんか。野党も初めてそういうこと訊くのも阿呆みたいやけど、なんで、安倍ちゃんはそれをハッキリせいへんねん」
「あのね、おばちゃん、毎年の自殺者数キッチリ3万人ちょっとという発表知ってますか」
「そういうたら、毎年、おんなじやな」
「あれね、内閣府の調査限界で、3万人程度までしか自殺者数を調べることが出来ないんですワ。ほんとは十万人前後は在るんですけどネ。それと同じで、P検も、調査の限界があるから、それが日本は極めて少ないので、感染者数がハッキリしないんです。感染者数がハッキリしないので、いつ収束するかはワカラン。これは、野党のほうもワカッテるんです。まあ、安倍総理としては、そういいたいんですが、そしたら検査を多くしたらいいじゃないかと、いわれるのに決まってますから」
「多くしたらええやんか」
「出来ればやってますよ。しかし、まず、誰にでもヤレルというものではナイ。さらにヤルには感染の危険も多い。だから、いまんところ手一杯というところでしょうね。けれど、今度は延長しましたから、何か新しい手は打たねばならない。でないと、いつまでヤっとんじゃと、国民のstressが爆発します。いまでもDVや押し込み犯罪が増えてきてます。それで、歯医者さん にもちょっと研修させて、ヤってもらうようにするらしいですね」
「なんで、歯医者やねん」
「検査は口の中、あるいは鼻の中に特殊な綿棒を入れるもんですから、私は耳鼻科でもイイとおもうんですけど、歯医者さんのほうが数が多いんでしょうねえ」
「そやな、歯医者は、最近デンタルとかいうて、いっぱいあるもんな」
「宣言を延長しましたから、検査数もちょっとは増えるとおもいますよ」
「延長で収束がわからんかったら、また延長するんかいな」
「そうするでしょう。延長に継ぐ延長。『番町皿屋敷』ですね」
「なんやそれ」
「三遊亭円朝のシャレ。お菊の皿が何枚あるのかワカラナイ。~今夜は二、三枚大目にエンチョーしますゥ~」
「あんた、ワカランことばっかりいうねんな」
「まあ、相手は生物ですから、手強いンですね」
「ナマモノか」
「セイブツです」
「あんたは、いつ頃、シューソクとか、なんや、スルとおもうてんねん」
「第一波なら、今年中には下火にはなるとおもいます。そのアトで第二波があるとおもいます。ですからやっぱりアト1年半~2年は」
「気の長いハナシやなぁ、もう」
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