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2019年11月 6日 (水)

映画評『屍人荘の殺人』

三年ぶりになるでしょうか。東宝試写室で試写を観ました。ずっと自律神経の変調で90分の映画も観ることが出来ず、ブロック注射を始めて100回あたりで、なんとか自律神経のresetのほうはうまくいったようです。(痛みはまったくとれませんが)。
で、タイトルの映画を観にいきました。
原作は国内主要ミステリー賞4冠達成の新人(デビュー作)今村昌弘さん。監督は木村ひさし(「金田一少年の事件簿neo」)、脚本は蒔田光治(「トリック」シリーズ)主役に神木隆之介、浜辺美波。上映時間2時間。
で、ひとことでいいますと(ひとことでいえるので)、「社内食堂の本日のサービスランチを食った感じ」でした。
いわゆる「閉ざされた山荘」もので、そういうミステリに重要な
〇何故、犯人はそのような不利益な場所(人数が限られて来るので、真犯人がワカッテしまう確率がぐぐっと上がる)
〇何故、そこが「閉ざされた山荘」になったのか。
の二つの課題はクリアしています。
後者のクリアの仕方が奇抜(奇想天外という宣伝)ですので、これも4冠達成の理由かとおもわれますが、前者はありふれていて、もう黴が生えているプロットです。
おそらく、4冠なんですから、原作はかなりの力作だとおもわれます。
しかし、映画というものは、予算と時間の関係で、チャチャっとやっちゃうことがしばしば。
蒔田さんお得意の小ネタもたくさんあるんですが、みな空振りだとおもわれます。「まだ、こんなことヤッてやがんの」というふう、ね。
事件の中心現場、ペンション紫湛荘はセットを組んだということですが、にしてはカメラが良くない。ミザンセーヌまるでダメ。テレビドラマみたいでした。
斬新なトリック、のはずでしたが、単調、平板な進行のために、「これは謎だな」「おっ、なんということだ」という、 ミステリ特有の起伏の面白さは何もアリマセン。もったいねえなあ。
15人の容疑者という触れ込みなんですが、こいつ怪しいとおもわれるのがいない。伏線の張り方から、ああ、このひとが犯人ね、というのは、ミステリが好きなひとならすぐにワカル親切さ。従って「真犯人は誰だっ」という興味がわいてこない。これ、致命的欠陥。
せっかくの新人作家渾身のトリックがどれも活きてこない。ああ、もったいない。といって、登場人物の固有性が殆どナイ。誰でもイイというふうですが、原作はたぶんそうではなかったんでしょう。
これ以上は書くこともナイので、もうひとこと付け足すと、小学生向け探偵ドラマかな。いやあ、ほんとうにもったいないなあ。幾らでも面白く出来たのになあ。
東宝さんも、最近、勝ちつづきで、油断丸見え。こういう業界は、浮き沈みだぞ。

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