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2019年10月31日 (木)

港町memory 52

何処の誰がいい始めたのか、ワカラナイ用語というのが、業界ごとに多々あります。かつ、その内容(内実)も不明というのもあります。
私は演劇のほうで糊を口にしておりますから、そこから一つ。
「役づくり」
これは、業界生活45年を経て、いまなお「謎」の、いってみれば「呪文」です。
アスペルガーですから、すんませんが、「役づくり」について拘らせて頂きます。
この「役づくり」というコトバ、まるで、「ちょっとトイレに」くらいに軽度に飛び交っています。「ちょっとトイレに」は具体的でよろしい。トイレですることといったら排便、排尿、強姦(和姦もアル)ですから、ヤルことはたいていワカル。ハナシをわかりやすくするために、dialogueふうに記してみましょう。
登場人物は私とどなたかの役者さんです。屋久緒さんということにしておきます。
「浮かぬ顔ですね、屋久緒さん」
「いやあ、今度の役は役づくりが難しくてねえ」
「役づくりというのをヤってらっしゃるんですか」
「みなさん、そうでしょ」
「そうですかね。私は演出もやりますが、役者で舞台に立つこともあります。そういうワケのワカランことはヤッたことがありませんよ」
「ワケがワカランとは、役者、いや演出家としてもあるまじきお言葉ですな」
「あるまじきか、armadilloかは知りませんが、そもそもその〈役づくり〉とやらは、どうやって何をスルんです。何かそれなりの方法論とかがあるんですか」
「というか、北村さんは、役者で舞台に立つときにはどんなことをなさるんですか、たとえば、その役に対して」
「とくに変わったことはしませんね。せりふは台本に書いてありますから、そのせりふをマチガイなく読む練習はしますが」
「それだけですか」
「うーん、それだけ、です、ね」
「この〈役〉はこれこれこういう性格だとか、ここはこんな心理で演ずるとかは」
「そういうのは、しませんね。強いてヤルとすれば、相手役にどんなふうに合わせていけばいいか、考えるくらいかな」
「相手役の演技が奇怪しい場合も合わせるんですか」
「それは、相談して、合意の上で、演出家に決めてもらいますが」
「演出家は、この役は、こんなふうだとか注文出すでしょ。それに対してはどうするんです」
「注文どおりにやる練習、稽古をしますが、たとえば、自分のideaといいますか、こんなふうにも、せりふをいえますがとは、一応お伺いしてみますがネ」
「それで、演出家と対立するときもあるでしょ」
「ナイです。演出の指示、missionどおりに、演じるのが役者だとおもっているので」
「それで、観客からあれは、miss castだとかいわれたりしたらどうるんです」
「それは演出家の責任ですから私に責任はありません。屋久緒さんの場合役づくりとかをして、演出に、それはチガウといわれたら、またやりなおすんですか」
「まあ、やりなおしますが、自分の役づくりに自信のある場合は、論争になることもありますね。だって、無能な演出家って多いもの」
「それはね、私の場合は、その、無能な演出家が演出をする舞台には出演しないようにしているだけです」
「役づくりをしない、か。それでよく役者がやれますねえ」
「せりふさへ、マチガイなく語れればOKです。ですから、三種類くらいは用意してはおきますが、これだとおもうのは一つだけですね。その一つを探すのが難しいんですけど。私の場合は、役づくりじゃなくて、せりふ探しかなあ」
以上、でござんして、演出から、~こんなふうに~といわれたら、そんなふうに〈役〉の雰囲気くらい幾つでも変えることは即座に出来ます。ただ、せりふのいい方はそうはいかない。私の場合はせりふが「呪文」ですね。

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