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2018年11月11日 (日)

塾長lecture ⑩

羯帝 羯帝 波羅羯帝 波羅僧羯帝

菩提僧莎訶

般若心経

これは閉幕のコトバとでもいうべきで「真理に行けるものよ 汝に幸あれ」というふうな意味になります。

では、わたしたちもしめくくりましょう。『般若心経』の教えとは「色と空を〈分けてはイケナイ〉〈分けられるものではナイ〉」でした。依って「色不異空 空不異色 色即是空 即是色異」なのです。

わたしたちは、わたしたちの肉身を輪郭として、その内と外を分けてしまっているが、それは誤謬、錯誤、錯覚なのです。

わたしたちと世界/宇宙は、「色」と「空」のように「分けられるものではナイ」それはちょうど演劇において舞台と役者が分けられるものではナイということと同じです。

ひとつ具体例を示すと、半径1の円の面積(Π/パイ)の面積が求められないのは、円を線で閉じて内と外を分けてしまっているからです。線には面積が無いのですから、内と外は ほんとうは分けられないのだから、この営為は膨張していく宇宙の全面積を求めていることになります。それは不可能です。  

このかんがえを拡張していけば、わたしたちの生と死も分けられるものではナイ。という未踏の理に辿り着きます。生や死がナンであれ、ただ分けられるものではナイとしかいいようがナイのは、わたくしが修行未熟な衆生だからですが。

『仏説摩訶般若波羅蜜多心経』は、わたしたちの存在をこう述べていることになります。

/わたしたちは、世界、宇宙と、わたしたちに「分けられるものではナイ」。わたしたちこそ「色」で在り「空」だからです。従って〈空〉とは何かと問われたら「わたしのことだ」と応えればイイ/ということになります。

 

付記

『人間交差点』(小学館)「ひびわれた土」にみる般若心経

名作マンガ『人間交差点』(作・矢島正雄、画・弘兼憲史)の一作に「ひびわれた土」があって、陶土と焼き物を愛しすぎてパートナーの女性を殺めるに至る青年に、僧侶がこう説く場面がある。印象深く、的を射ているので、そのコトバを記しておく。

「人間なんて、そんな強いものじゃない。・・・とかく人を愛すと無垢なものを求め過ぎる。垢れのない心を求める。しかしそれも愛する者の欲だ。

君は自分の運命を意識し過ぎたのだ。自分は土と共にあると思い込んでいた・・・しかし、人に運命があるとしたら、独りで生まれ独りで死んでゆく・・・それだけじゃないのかね。生命が迷いに始まり生病老死に終わる以上、生死輪廻。所詮、人は独りであり空なのだ」

ここにいわんとされているのは、キリスト教とは違って仏教は「愛」もまた「苦しみ」だと説いていることだ。この僧侶(和尚)は知っている。悟りなどナイということを、悟ったものなど存在しないということを。と、そういうことが〈悟り〉ではナイのかね、と、訓戒しているのだ。

 

 

後期  

およそ『仏説摩訶般若波羅蜜多心経』における〈空〉はその文字から「空間」と誤解されるのだが、これは「時空」と解しても大きな逸脱ではナイ。むしろ〈空〉とは〈時間〉に近い概念といえる。仏教の三宝印のうちの二つは「諸行無常」「諸法無我」だからだ。前者は現象を後者は自己存在の空間性を時間的に扱うからだが、とはいえ、この「時間」というモノを〈非在〉としなければ〈空〉はその意味を失うことになる。何故ならば〈空〉に於ては「時間」はその尺度から在って無いものだからだ。従って「時間」も便宜上の存在と捉えなければならない。(私たちは量子力学さへも、ニュートン力学の範疇でしか思考することが出来ない。少なくとも古典量子力学はそうだった)

「菩薩」や〈空〉については仏教の「小乗 上座」に於も大乗に於も数多の宗派に於も、その存在を認めたり否定したりしているが、その選択を教典、法に依拠するか否かについては たいていが「法・教典」を学ぶことを重視とする、になっている。釈迦仏陀は阿弥陀如来の弟子だとする浄土系仏教や、阿弥陀如来や大日如来など認めない法華宗系、禅宗などそれぞれに「法・教典」は存在する。 

わたくしは釈迦入滅の「遺言/いごん」であるところの『自燈明 法燈明』を重んじて「自らを照らす明かり」を「諸法の明かり、法・教典」より優位としていることに注視し、よって『仏説摩訶般若波羅蜜多心経』の解説もその姿勢で記述した。

 

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