無料ブログはココログ
フォト

« 第三十七回 | トップページ | 第三十九回 »

2018年10月20日 (土)

第三十八回

 いっぽう、薩摩白波五人衆をことごとく失った卍組とて、黙ってこの状況に甘んじていたワケではナイ。

「へーえ、そうなんですか、頭」

「そうだ」

 突然、あのデコボコ、いや、頭目と手下のいつもの漫才、いや掛け合いが始まる。

「また誰か、手練をお雇いになったんで」

 頭目は、含み笑いをするのみ。

「その含み笑い。きっと、スゴイのを雇ったんですね」

「そのとおり、だっ」頭目、コトバとともに、唾も吐いた。

「それが、ひょっとすると、あの御仁で」

 手下の示すところに、小柄な男が胡座で座している。その目、開いているのか閉じているのか、これが俗にいう菩薩眼。

「さて、終久門(しまい くもん)どの、とやら、お待たせした」

 頭の眼光、いつもに増して鋭く、胡座の男を睨み付けるかのよう。

「くもん、というと、流派は公文式ですか」

「久門どの、こやつのいうことをいちいち気にせんでもらいたい。出来の悪い手下しか当方には残っておらぬのでな」

「あらら、アララット山はノアの方舟。で、この手練の方の武芸、武器は何ナンです」

「聞いて驚くなっっ」

「たいていのことには驚きませんよ、もう」

「この終久門どのは、右近と同じ〈隠れたるもの〉だ」

「ええええっえっえっえええっっっ」

「驚き過ぎだ、馬鹿者」

「この方、あの〈隠れたるもの〉さん、ですか」

「そうだ」

「そんなの、よく見つけてきましたね」

「そろそろ登場する頃だという読者の読みを感じたのでな」

「では、この方も、鍔鳴りをお使いになるんですか」

 このとき、菩薩眼の片目がすこうし、開き、

「私の兵法は、あのような子供だましではナイ」

 終久門の唇が微かに動いて、そういった。

「右近の鍔鳴りを子供だましと、おっしゃいましたよ。カハハハ」

 手下はヘラヘラしている。

 頭目は、手下を殴る気分も失せている。

「秘剣鍔鳴りとは、柄を拳で叩き、鍔を震わせて、」

 おお、いま、鍔鳴りの秘密が語られようとしている。頭目も手下も息を飲む。

「鍔を震わせて、」

 なんだ。

「鍔を震わせて、」

 そのアトだ、聞きたいのは。

「鍔を震わせて、・・・何かをするのであろう」

 頭目も手下も、やや、ズッコケる。

« 第三十七回 | トップページ | 第三十九回 »

ブログ小説」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 第三十八回:

« 第三十七回 | トップページ | 第三十九回 »