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2018年10月16日 (火)

第三十五回

 朧は、太股の傷の手当てを兼ねて、秘湯と呼ばれる山間の隠れ湯に浸っていた。かつては武田信玄が戦場で傷ついた兵(つわもの)、あるいはその後遺症をもつ武士たちのために活用したとされる天然の薬湯温泉だ。ふだんは山野、森林のけものたちが同じように傷の手当てや癒しに用いている。

 朧は自身の指で自身の乳首つまんでみた。特に意味はナイ、読者への妄想serviceでしかナイ。作者の趣味でもナイ。

 強い、と、いうより、おそろしい。朧は敵手に対して初めて恐怖というものを感じているらしい。乳首のツン立ちがそれを物語っていた。(ほんまかいな)

 ふいにあの作務衣の男の仕掛けの剣が、おのれの術の影たちの方向に向かって飛んできた。唯一の実体はそれに一瞬防衛の態勢をとった。それが実体の存在を逆に知らしめることになった、というのが朧の見得(けんとく)だ。あの予想だにしなかった刀身の飛来。あの出来事を右近の何らかの技とかんがえるならば、いや、そうにチガイナイのだが。右近の鍔鳴りは敵手が斬りかかった後で自身の刀を抜くと聞いている。それが、あのときは様相がチガッタ。右近は先に抜いた。つまり、誘ったのだ。作務衣は、いま、と、ばかりに刀身を飛ばしている。おそらくあの程度のものなら右近は叩き落とすか、弾き返したにチガイナイ。そこで、間隙を狙ったあの作務衣の第二撃があったはずだ。しかし、あの作務衣も意表をつかれたかにみえた。そうにチガイナイ。真逆(まさか)あそこで刀身が飛ぶ方向を変えるとは。しかも、影の実体に向かって。

 何故、鍔鳴りとはどんな技なのだ。

 ともかく迂闊には十忍も使えぬ。なにやら、こちらの技を先読みされているかのような、そんな恐ろしさを感ずる。あるいは、瞬時にこちらの技を見切られているのかも知れぬ。もしそうならば瞬速よりもさらに速い。

 あれは、なんといったか。おのれが師は、たしか〈加速〉とかいったような記憶がある。朧は自身の修行時代の記憶を弄(まさぐ)った。十忍の中にもその応用はあるにはあるが、あの武士、楠木右近なる武芸者の兵法、鍔鳴りは、〈加速〉をなんらかの方法で用いているのではないか。試行錯誤、五里霧中、裸身湯中。

 朧は浸っていた湯から立ち上がった。ほんわりと湯気を帯びた美身があらわになった。秘毛から滴が垂れて落ちた。(ちょっとserviceし過ぎだった)

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