〔デン魔大戦編〕7
「毎朝、おはようごさいます、こんにちは、といいあっていたひとが、突然知らん顔をする。困っているから、会社辞めさせられるかも知れないから、殺されるかも知れないから、カネオクレ、と電話があって、送金すると詐欺で、悪いのはその詐欺に引っ掛かった近親の老母のほうで、公報も警察もマスコミも、/騙されるな、気をつけろ/というようになる。善意はヤメロといわれる。コンビニの女性店員に~きょうはいい天気だね~といったら、~でも、午後からはくずれるそうですよ~とcommunicationしていたのが、~そうですね~の、視線を合わせないやりとりに変わる。風営法にひっかかるのかもしれませんが、常連の客に対して過剰な親しさをみせて接してはイケナイと、manualにあるのだから、仕方アリマセン」
そんなところで死にたくはナイな。
「しかし、それはもう、現実世界じゃあ、日常でしょ」
「夢は、日常じゃ、アリマセン」
なるほど。つまり、現実から逃れるべくところが壊滅されるというのか。
「じゃあ、何故、デン魔は夢を荒廃させ、夢の世界の崩壊なんかをするんだ」
「この宇宙、その全体の半分は夢だからです」
えっ、そうなの。
「夢の世界を壊せば、現実の世界も自然に壊れます」人魚はうなだれた。
と、突然、土方が焦燥したように、訊ねた。
「だから、そんな世界、宇宙の崩壊を目論んでいる理由、そのデン魔とかいう連中の目的は何なのだヨ」
「それは、」
「それはっ」私、土方、ハルちゃんレイさん。
「ワカッテいません」
だろうな。そんな気がしたよ。
しかし、夢まで壊されてしまっちゃ、人生の半分はたしかに壊滅するといっても過言ではナイだろう。
とはいえだ、
では、この特殊部隊の人魚ねえさんと供にデン魔征伐をやればイイってのか。
「敵、というものを定義するならば」
土方が思案ありげに腕組みをすると、
「拙者の目的を邪魔するものは、これ即ち、須らく、敵だ」
拙者、と、きた。いきなり武士にもどっている。
「で、どうやって」ハルちゃんレイさん。
「いったい何と」ハルちゃんレイさん。
「戦えばいいのか、その具体性がよくワカランが」
と、これは土方。
ちょいちょい、あんまり、story性を持たさないで欲しいナ。これは私の潜在的な思い。とはいえ、nonsenseに過ぎるのも困る。適度にフザケて、
「気楽に考え過ぎるのもよくないですよ」ハルちゃんレイさん。
「いや、けして気楽というのではナイんだけどね。デン魔との戦いを描くなんて物語はヤだなと、そう思ったんでね」
これ、私の率直。
と、人魚ねえさんが跳ねた。というか、歩いたのかな。
「いずれにせよ、この世界は侵略されます。どういうカタチであれ、対応は迫られます」
道理ですね。正論です。
「刀、棄てなきゃよかったかなあ」
もちろん、土方の、他人にも聞こえる独り言だ。
「武器庫があります。もし、お嫌でなければ案内します」
武器庫。そんなものがあるのか、函館に。
「此度の大火でも損傷はナイものと思われます」
まあ、なんでもアリの函館だから、武器庫くらいはあってもイイか。私の脳は急速に反転した。
「海ん中だな」と、土方が人魚を観た。
「ビンゴ」と、人魚。
「どうやって行く。潜水艇でもあるのか」
「その必要はありません。地下から海底に通じる通路があります」
« 〔デン魔大戦編〕6 | トップページ | 「自燈明 法燈明」について »

