〔デン魔大戦編〕2
かくして、私は一句、一首、詠んでみるのだった。
ふりかえると薔薇がみえる 失いしものばかり
目覚めれば、ここは何処だの朝のいっとき
「日暮れ道」という道 探してみたがみつからず
明日は明日の今日と同じ風が吹く街
あした食うレシピをメモに書くときに あした逢いたいひとの名も書く
生きて在るもの、逝ったもの、この紙一重の重力の流れ
なんだか、夢の中にいるのに路頭に迷っている。路頭さへも焼失してしまったのだが。
とはいえ、まず、目の前に倒れている人魚をなんとかしよう。いつの間にか人魚が横たわっている。こんなことにはもう驚かなくなっている。夢だからな、と、自分にいうのもやめた。
「比目魚よりも、艶っぽくていいや」
ハルちゃん・レイさん「人魚に似てますね」
人魚だからだろ。人魚じゃナイのか。んっ、なるほど、乳首がナイ。というか、薄いスーツをまとっている。ナニよ、コレ。ともかくは、性別女性のようだけど。気絶しているのか、死んでいるのか。
「生きています」と、ハルちゃんレイさん。瞳孔と脈を診たようだ。
「水棲生命体じゃナイのか」
「鰓はありませんね」ハルちゃんレイさん。
つまり、人魚じゃナイようだ。じゃあ、何だ。人魚みたいな、何だ。
「生きているのなら、この状態からして、死にそうだということなんだろうけど、どうすればイイかな。オレは人命救助とやらは、現実世界では二度ほど経験があるが」
やってみるか。性別女性だし、美人だし、mouse and mouseの息の吹き込みが出来るという役得付きだ。
「ハルちゃん、レイさんは心臓マッサージ、私は息を吹き込む」
と、missionして。やってみたら、
数分後。人魚みたいな性別女性は眼を開けた。
「デンマ ガ キマス」
と、息も絶え絶えではなく、発したコトバは、きっぱり、はっきり、機械音声の如くだ。
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