無料ブログはココログ

« ナマケモノ | トップページ | 明日という字は »

2017年9月20日 (水)

〔デン魔大戦編〕5

「実に簡単なことです。自衛隊は、国民を守るなどという教育、訓練といってもよろしいんですが、そういうものはナシ。受けていないのです。では、どういう教育、訓練をやっているかといいますと、日本の平和を守るという教育、訓練です。これを任務として活動する軍事集団なのです」

「どう、チガウのかワカリマセン」ハルちゃんとレイさん。

 土方も生唾を飲んだ。初めて耳にするアメリカの兵器にもデファレントだったのだろう。しかし、彼とて、ハルちゃんとレイさんどうよう、チガイが理解出来ているようではナイ。

「少し遠回りな説明になりますが、いやいや、なるたけ簡潔にやりますので、ちょっと我慢を、」

「俺はしてやるぜ」

「しょうがないので、私たちも」

「そんなバカなとおもわれるかも知れませんが、現状の北朝鮮の挑発なんてのは、ほんとのところ問題にはシテません。ただ、そちらのほうに国民の目を向けさせているだけなんです」

「えらく大胆な分析だな。どういうresearchだ」

 と、土方。

「政治とは、そういうものです。かつて、第二次大戦後ですが、ソ連の軍事力をもってすれば、北海道は二日で占領されるだろうと目算されていました。しかし、現在のロシアの軍事力では無理な話です。逆にいうと、日米韓の共同作戦を持ってすれば、北朝鮮は二時間で壊滅します。ただし、核の被害がどの程度あるかは、さまざまな確率予測によってかなり異なります。いま、米国が懸命に取り組んでいるのは、北朝鮮の核の90%までの無力化です。これについては、かつてソ連であったウクライナの核開発能力の研究資料をごっそりと持ち帰って検討しています。ウクライナがソ連から独立するさい、優秀な核兵器研究者の多くは、ウクライナに移りました。彼らの現在の研究は、もちろん、戦術核、戦略核の発射前攻撃です。具体的にいいますと、ミサイル発射寸前にどれだけの通常兵器攻撃、あるいはサイバー攻撃が仕掛けられるかというこの一点です。ともかく、日韓に対しては、北は戦術核で充分なんですから、それを迎撃すればイイのですが、完全にこれを叩くならば、発射出来なくスル、これが最大の攻撃なんです」

「ほーっ、ほほう。ほう」

土方は、こりゃ、ちょっとバカに出来んナという身の乗り出し方に姿勢を変えた。

「ことのついでにいわせて頂いていいのなら、永世中立を謳っているスイスの軍事力は実はワカッテいません」

「スイス」イスイダララッタ、スラスラスイスイホイ。

「オーソン・ウエルズの映画『第三の男』の中に、第二次大戦でスイスが発明したのは鳩時計だけだ、という名せりふがありますが、大間違いです。つい最近、といいましても数年前、スイスの民間防衛ガイドラインが記された書籍が評判になりましたが、私どもが読んだ限りでは、あの本は、現状に対応していません。おそらく観光客の誰かがスイスの古書店で買った本を、スイスの防衛要項だという触れ込みで印刷し直したのでしょう。まったく役に立たない古い本です。たしかにスイスは核保有国ではありませんが、核保有国に命じて、核攻撃を行える準備はしてある、というのが、私どものresearchによる共通見解です。スイスは世界一、二位を争う武器輸出国です。最新兵器はたいていスイスの発明と生産で、もちろん、米国にもイスラエルにも技術提供はしているはずです。ところが、その最新兵器の弱点を知っているのはスイスの軍事研究施設だけです。また、最新兵器として武器を輸出する場合は、常に次の新兵器の準備が整ってからです。これは未確認ですが、核戦争が勃発した場合、スイス国民の全てが三年間程度、生活出来るシェルターが準備されているという報告もあります。ほぼ事実でしょう。表向きの陸、空軍は世界で中くらいの規模ですが、ほんとうの最強軍事力を有しているのはスイスだろうというのが、私どもの結論です」

「デンマが、」

 人魚が、自分が無視されていることに気付いたらしい。眼を剥いてそういった。

« ナマケモノ | トップページ | 明日という字は »

ブログ小説」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/558792/65815264

この記事へのトラックバック一覧です: 〔デン魔大戦編〕5:

« ナマケモノ | トップページ | 明日という字は »