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2017年7月

2017年7月21日 (金)

これは〈無理〉です。DVD感想『あのひと』

半年ばかり前に「これはオモシロイよ」と、どのひとかから頂戴した『あのひと』(山本一郎、監督・脚本、織田作之助・・推定)は〈無理〉な映画だとしかいいようがナイ。いんろなintelligentsiyaや、ゲイジツ家、業界の方々が「お褒め」のコトバをなんぼもろてか、あるいは好意とか付き合いでか、お書きになっているが、なるほど、うまいこというねえ、としかこれもまたいいようがナイのだ。

映画の傾向をコジツケでいうならば、戦中のATG映画、とでも呼称、あるいは小劇場演劇映画、になるのだが、脚本が織田作之助のものかどうかなどということは殆ど問題にならない。たしかに筆致はそうなのだが、この程度のものは、私の弟子たちなら課題提出レベルで書いてしまうもので、タイトルにしてからがマズい。『あのひと』で戦中の脚本であるならば、劇中でいくらはぐらかしても、それが〈天皇〉を示していることは歴然としており、英語訳されたタイトルの『The one』のほうが的確ではないかな。

戦争コミックには、未だ大東亜戦争が続いていたら、や、もし、ミッドウェーで日本海軍が負けなかったら、などのIFものがけっこうあるのだが、この映画もその方法をとりながら、とりあえずは「反戦」映画の範疇に入り込んでいるのだろう。しかしそれは〈無理〉だ。

「お褒め」のコトバの中に四方田犬彦さんが「キアロスクーロも申し分なく」なんてことをいっているが、こういう専門用語を使われると、へーえ、そうなのかと私ども素人は思い込んでしまうのだが、なんで「画面の明暗、コントラスト」といえないのか。それでなら、とてもじゃナイが、へーえ、なんて納得はしないな。レフ板の輝き一つとっても、それがワザとなのか、ワザとなら、どういう効果が狙いなのか、さっぱり素人の私にはワカラナイ。長く同じ釜の飯を食った神戸浩などは、一生懸命に最低の(私の知る限りだけど)演技をしていて、うら悲しいったらありゃしない。演技のことについては触れるようなレベルではナイのでやめておくが、結局、ちょっと出の福本晴三さんの、演技などではナイ、存在感という「演」にアッというまに持っていかれて、チョンかな。

だいたい、日本の国ほど、戦中はともかく、現在もまた天皇、皇族を上手に活躍させている国家はめずらしいのであって、公務と名付けられた奮闘ぶりには頭が下がるし、感動して涙が出る。現防衛相が、先だっての九州豪雨のときも、陣頭指揮に立たず、獅子奮迅の自衛隊を労いもせず、「台風来てんのっ」などというとったんやから、もうこのアホは首相の任命責任がどうのではなく任命理由のほうをハッキリさせるか、いっそ、死んでもらえ。その手の裏組織が存在することくらいは、素人の私でも知っている。私も命が惜しいのでその組織については都市伝説にしておく。

こんなもんに「不気味」がってたり「戦争とはと問いかける」などと他人事みたいに呑気なこというてる連中は、あの『陸軍中野学校』『兵隊やくざ』の増村保造監督の、もう一つの戦争映画『赤い天使』(若尾文子・主演)でも観てみるとイイ。一度も休むことなく、観果せたらたいしたもんだ、と、当方、脱帽する。(私は血圧の具合が急変して二度休んで観た)

織田作の未発表脚本が出てきた。それ、撮っちゃえ。この監督は、もう数年は脚本と格闘すべきだったと、これが、織田作を舐めてかかったようにしか思えなかった私の感想だ。

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