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2017年2月15日 (水)

夢幻の函 Phantom share 32

その日の朝ごはんも、トウモロコシのスープと、牛や馬や山羊に食べさせる麦わらを粉にして焼いたパンでした。山羊からは乳がしぼれましたが、それは売り物で、父親と母親は山羊の乳をしぼっては町の市場にそれを売りにいくのが仕事です。

エブは牛を、ビブは馬を使って、田畑をたがやす仕事をしていました。ドブとツキの仕事は少しでも農作地を広げるために、森林の木を伐り、根っこを引き抜き、草を刈ることでした。

ツキはまだ幼かったので、ドブのあとについて、小さな雑草を抜いていました。

 

二級天使はまずエブのところにいきました。ぬかりなく、ちょっとした魔法使いのかっこうをしていました。

「おい、エブよ、おまえは兵士になって、戦争をして国王になりたいというのが夢だったな」

「そうだが、それがどうした」

二級天使はニヤリと笑って、

「では、戦争に必要な兵隊とその牛とを、とりかえっこしてもイイぞ」

「そんな兵隊がどこにいるんだ」

二級天使は、ざるにいっぱいの麦わらを差し出して、それをひとつかみ、バラバラとまきました。すると、麦わらは数千人の兵隊になりました。

「どうだ、ひとつかみで数千人の兵隊、それが、ざるいっぱいだ。これでおまえはいまからその隊長さんだ。この国の城に攻めこんだら、あっというまに、この国はおまえのものだ。そのときは、王様の首はハネてもイイが、お姫さまは生かしておいて嫁さんにすればイイ」

エブはよろこんで、ざるの麦わらと牛をかえっこしました。

そうして二級天使のいうとおりに、その兵隊を使って戦争を起こし、あっというまに国王になりました。

 

次に二級天使はビブのところにいきました。今度は大金持ちのかっこうをしています。

「おい、ビブよ、お前は私のように大金持ちになりたいのだろう。ありあまる金貨と、その馬とを、とりかえっこしてやってもイイぞ」

「そんな金貨がどこににあるんだ」

二級天使は、ざるにいっぱいの麦わらを差し出して、それをひとつかみ、バラバラとまきました。すると、麦わらはすべて金貨になってふってきました。

ビブはよろこんで、馬と、ざるいっぱいの麦わらをかえっこしました。

「それから、いいかよく聞けビブよ。金貨というのは使い切ってしまえばなくなるものだ。おまえは兄のエブの国へいけ」

「エブ兄さんの国って」

「エブは牛と兵隊をかえっこして、たったいまこの国の王さまになったのだ。いまでは兵隊の数は数万人以上だ。ところが、この兵隊たちを食わせていくのには、食料を買う金貨がいる。そこでその金貨を使うのだ」

「でも、使い切ればなくなるっていったじゃないか」

「エブは国王だ。そこで、国の民から税金をとりたてるように命令させればイイ」

「なるほど、そうすれば金貨がなくなることはナイな。おまけにエブ兄さんと助け合って、オレも商売ができる」

ビブは大よろこびでエブのところにでかけ、二級天使のいうとおりにしました。

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