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2017年1月14日 (土)

夢幻の函 Phantom share⑨

島田荘司老師の『水晶のピラミッド』にはまんまとヤラれたが、やられたミス・ディレクションの仕掛けのほうが面白かったナ。真相(いわゆる御手洗探偵の推理)は忘却しているるんだから、つまんなかったんだろう。しかし、あれだけの長編で、なあるほどと感心したのは、何故、ピラミッドの計測にΠ(パイ)が出現するのかという、比較的ちっちゃな謎解きだったワ。

「あのね、そのコト、つまりね、キューブだか陰部だか、ピラミッドだか、そういうコトについては、何れ誰かがお芝居にするから、いいの」

「えっ、お芝居っ」

 ハルちゃんはずいぶん不思議そうな顔つきで、首を何度も横に振っていたが、その仕種は意外に可愛かったので、函館に相撲をとりに来よう、じゃなくて、住もうかナと突発的思考が働いたが、女性と出逢うたんびにそういう飛躍を考えているのは、夢のせいではなく、フロイトの精神分析でいうならば、と、いきなり思考遮断。

「あの、~さん、〈愛〉って信じますか」

 えっ、なんだ、まるでナントカの証人が「あなたは神を信じますか」といってるみたいじゃないか。ハルちゃん、それ唐突。

とはいえ突発に飛躍に唐突と、夢ならではだな。

「愛というと、その、アレはですね、私は愛の行為、営みは信じますが、いや、信じるというか、実感出来ますが、〈愛〉といわれるとつまり、愛というのは、ヒトの外にあるもんじゃナイでしょ」

 ハルちゃんはしばらくfreeze、考えているようだった。たぶん、私にナニを訊かれたのかそれがワカラナクて、そっちのほうを考えていたにチガイナイ。

「ソ、トッ、ソト、ヒトのソト、フクワウチ」

 というと、何のことですか。ハルちゃんの眉間は疑問符を呈していた。

「つまり、例えばですね、〈意識〉って、人間の外にはナイでしょ。中にありますよね」

「それは、脳の中ということですか」

「いや、脳でもココロでもイイんだけど」

「ココロって何処にあるのかな。やっぱ、ハートだから、心臓ですか」

「いやあ、ココロは人間の全体がそうなんじゃないかと、私は思ってますよ」

「えっ、身体中ってことっ」

「いうならば、そうです。部分的にあるんじゃなくて、全部というか至るトコロ」

「~さんって、ほんと不思議な方ですね。うちのマスターのいう通りだワ」

 マスターって誰なのか、ワカラナカッタが、夢だから仕方ない。

「すると、私ってココロですか」

 立派な質疑だ。

「という時もある。でない時もある。いうならばユビキタスかな」

「指切ったす、か」

 私のナニがどうなってるのか知らないが、私は女性のこういう応答に欲情する。いや、感動するにしておこう。

「うっ」

「どうしましたっ」

 何故、呻いたのか、私にもワカラナイ。感動したからだろう。欲情ではナイ。

「いや、ちょっとその、ね。えーと、意識じゃなくて、そうだな。ああ、うん。仏教なんかじゃ、特に禅宗なんかがそうなんだけど、〈悟り〉ってあるでしょ」

「ありますね、聞きますね、悟ったとかどうとか。でも浄土宗とか浄土真宗とかはナイですね、悟りって」

「ああ、それは、あっち系は、他力本願だから、悟らなくてもイイのよ」

「ええっ、そうなんですかっ。悟らなくても坊さんになれるんですか」

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