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2017年1月20日 (金)

夢幻の函 Phantom share⑬

「どうしましょう」

「しばらく安全な場所で休憩するか。さて、ロシア正教会と、ローマ・カトリック教会と、どっちにほんもののMariaChristがいるのかね、ワトスンくん」

「シャーロック、きみの推理ではどっちなんだ」

Mariaさまに逢いたいのなら、Catholic ということになる。何しろイエスを産んだのはマリアだからな。産んだほうがエライというのが、カトリックのいいぶんだ」

 ところが、どっちも、いやどちら様も、出掛けていると門番長がいう。門番はひとりなのだが、ひとりでも門番長だ。何故なら「きみを門番にする」とmissionしたところ、彼は門番なんかはイヤだとごねたので、「じゃあ、門番長にする」とmissionのコトバを変えたところ、彼はOKしたのだそうだ。

「マリアさんが何処へお出かけなんだろう」

 ワトスンの疑問にシャーロックはすんなり、

「向かいの本願寺というワケではナイだろう。本願寺のもう一つ向こうは確か、本能寺だったね」

「そうだけど」

「じゃあ、そこだ」

「どういう推理なんだ、シャーロック」

「なあに、本能の赴くままに、さ」

 今度は信長か。いくら夢でも錯綜がひどすぎるナ。

「燃えているのはどの辺りなんだろう」

 と、私はハルちゃんに訊ねた。

「パリ」

 そう答えるだろうと思った。

 秀逸なラストシーンだったなあ、あの映画。受話器にHitlerの声だけが聞こえる。

「巴里は萌えているか」字がチガウ。もう巴里は萌えていない。1960年以降、巴里からは有名な画家は現れていない。その理由を真剣に研究している美術史家もいるほどだ。で、その答えには笑ってしまう。

〈おそらく、画家は、みな、食えるように、また、健康になったからだろう〉

 貧しさと疾病は芸術の源泉なのだ。(それと女と、ね)

 ゴッホも生前は一枚の絵も売れなかった。ムンクは健康になってからは絵柄が180度転換し、プロレタリアートの絵ばかり描くようになった。

 とはいえ、信長だろうが何だろうが、マリアさんのいるところに行かねばナラナイ、と思ったのは何故だろう。ワカランが、もう、私たちは本能寺の堂内にいる。

「いやあ、また遭ったネ。官軍の攻撃で、あちこち火の手が上がってるだろ」

 と、いったのは、次のせりふからワカルようになっている。このへんが作者が劇作家たるところだ。

「土方さん、あんた、どうしてこんなところに」

 隣に佇んでいるのは、その装束からワカル。何度も観たワケではナイが、教会ではお目にかかっている。

「どうして、Mariaと土方さんが一緒なんです」

 いくら夢とはいへど。

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