夢幻の函 Phantom share⑰
ある研究によると、約四十億年前に地球という天体がこの宇宙に現れてから、少なくとも、氷河期(アイスボール・ice ballと称されている)を挟んで、二度、火球(ファイアボール・fire ball と称されている)となって、熱エネルギーの第二法則による洗礼を受けて、灰の塊になったらしい。つまりhighballだ。何を意味するかというと、地球というのはこの四十億年に二度、完璧に死滅、灰塵、しているのだ。では、いまの地球とは何か。三代目といことになる。とはいえ、熱エネルギーの第二法則から考えれば、灰の球が、エネルギーを再度取り込むことは不可能だ。そこでこのideaは廃棄されたかというとそうではナイ。灰塵と帰したのは、地球表面だけで、内部のコアあたりには再生可能な熱エネルギーが残存していたのではナイかと訂正された。
これをどう取り違えたのか、ワザとか、意図的にか、無理やりにか、金星もどうようの状態だったと推定、ここから一気に現状も金星のコア付近には植物が生い茂っているという説があって、これは書籍にもなっているのだが、この珍妙なる学説に興味を持っているのが、なんとまあ、とある植物園の園長なのだ。
私はその植物園の職員の女性と危機一髪の仲になったことがあって、この女性は結婚すると同時に軟禁状態にされ、ともかくほぼ一年半にわたって、新郎、つまり旦那だな、その男に犯され(いや、結婚していたんだから、合意なんだろうけど)続けられたらしく、結婚当初は処女だったのが、新郎の甘言にいいくるめられて、新郎の複数の友人からも虐待的な性行為を受け、た、という話を軽々と私に語って聞かせたのち、そんなことよりスゴイのは(そんなことよりスゴイことがあるのかと慄然としたが)、金星には植物が存在するのよ、という学説を私に説いて、私たちは赤ちゃんをつくりましょうと、迫られ、あなた、産んで育てるのはタイヘンですよというと、私は産むだけ、育てるのはあなたよ、と、ホテルに連れ込まれ、一晩中、カラダを舐めまわされたが、さあ、ここに入れてと広げられた股間は、そう多くの女性のものは観てはいないのだが、あきらかに、ふつうの女性のものではなく、陰唇の大小から、膣の入り口の区別もワカラナイ、単なる真っ黒な漏斗状態になっていたことだ。私の脳裏には「black hole」というコトバだけが過った。(信憑率30%・・・けっこう高いナ)。
もちろん、生殖行為は遠慮して、私は脱出した。
後々、知人の女性に「それは大正解でした。ヤってたらタイヘンでしたよ。女というのは、ちょっと狂ってますから」といわれたけど。
地球も、ああいうところにチンボツするのではナイのだろうか。
というような記憶を背負っている間に私たちは何処をどう逃げたのか、川辺に立っていた。ちょうど産卵を終えた鮭が、アトは死ぬだけで泳いでいる。その上をかもめが脳みそを失くしたように飛んでいる。
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