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2017年1月31日 (火)

夢幻の函 Phantom share⑲

翌朝、いつの間に翌朝になったのか、夢だからワカラナイ。夢の中で眠ったのかどうかもワカラナイ。焚き火は消えている。寒くはナイ。熊はまだ座っている。ハルちゃんの食い散らかされた屍が眼前に転がっている。熊だな。食いやがったな。

 衣服はズタズタにされ、肉は引き裂かれていたが、どういうワケかパンツだけは、傍らに無傷のまま、置かれていた。脱いだのか、熊に脱がされたのか。

 と、熊が首を外した。なんだ、着ぐるみじゃないか。

 熊の首がとれて、レイさんの顔が現れた。

「えっ、レイさん、何してんですか」

「この毛皮、かなり温かいワ。だって、」

 と、そのとき銃声がしてレイさんが膝から崩れた。

 テンガロン・ハットを被った男が二人、何処に潜んでいたのか、私のほうに駆け寄って来た。

「我々は、」

 宇宙人じゃナイよな。

「森林警備隊のものです。森林火災や、熊による人間の襲撃を未然に防ぎ、森と人間の安全を守ります。森林警備隊の行動規律第三条の二項において、」

 これは熊ではナイ。着ぐるみだ。観ればワカルだろ。

「大丈夫でしたか。危ないところでしたね」

 熊じゃねえっての。

「いまの季節の熊は、タイヘン危険です」

 だから、熊じゃナイことくらい観ればワカルだろ。

「いまの季節の熊は、平気でひとを食います」

 で、あんたらは、平気で着ぐるみの熊を撃ったのか。

「隊長、こちらのナニカが死んでます」

 もうひとりのほうが、隊長とやらにそういって、ハルちゃんの屍を指さした。ナニカが死んでるというのはどういう表現なのだ。

「おっ、これはっ」

 と、隊長は、ハルちゃんの遺したパンツを拾い上げた。それからちっと匂いを嗅ぐと、すぐさまポケットに仕舞い込んだ。

「この熊はどういたしますか」

「うーん、かなりの熊だな」

 かなりの熊、といういい方も私にはよくワカラナカッタ。

「すぐにでも処理しないとな」

 それからテンガロンの二人はレイさんの着ぐるみを脱がした。例さんは下着以外身につけているものはなかった。

「おお、これはっ」

 なんだっての。

 それからテンガロンたちによるレイさんへの淫行が始まった。

「森林っ」

「森林っ」

「警備隊っ」

「警備隊っ」

「インコー条例、発動っ」

「よおっしぃぃ」

 なんやねんそれ。

 私はこれが私の夢ならば、なんというおぞまししい夢なのかと、そのとき初めて私の夢に嫌悪感を感じた。遠くに目をやると、たぶん函館市内だろう、黒い煙があがっていた。まだ燃えているのだ。

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