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2016年10月21日 (金)

百姓日記⑥

 

巌流島のコペルニクス

データをまず記しておく。『宮本武蔵』(2014年3/15、3/16、2夜連続でテレビ朝日開局55周年記念番組として系列局で放送されたスペシャルドラマ。原作 吉川英治、監督 兼﨑涼介、脚本 佐藤嗣麻子、宮本武蔵に木村拓哉、佐々木小次郎に沢村一樹、お通が真木よう子。アクション監修に、ジャッキー・チェンが会長を務める香港動作特技演員公會の唯一の日本人会員である谷垣健治を迎え、殺陣のシーンでは、刀を「本当に当てる」という今までにない手法が取り入れられた)。

目が悪くなるというのも、まんざらではなく、このワード・ワープロの扱いにくさに比すれば楽なほうだ。ここまで字数、大きさを揃えてコピペを修正して、書くのに30分かかってるからナ。これでまた30分目を休めるのに、コインランドリーでも行くか。

ただいま。

で、脚本が佐藤嗣麻子さん(彼女は、『K-20』の脚本・監督)ということもあるから、2年前の作品ではあるが、ツタヤしてみて、圧倒的に巌流島の決闘で倒されたのは私だ。

というても何のことかワカランだろうから、ちょっと順を追って(ふつう、そうなんだろうけど)、まず、武蔵が京流吉岡道場の道場破り、と、ここから始まって、その殺陣が香港アクション映画をかなり取り入れていることで、ちょっと驚く。データをひもとくと、やっぱりなるほど。ここはここで、圧倒的ではあるのだが、そりゃそうだよ、『るろうに剣心』というお子さま時代劇映画で、フェンシングみたいな殺陣をみせられて、私の知己の殺陣師(真剣帯刀を許可されている)なんかは、怒りのあまりポプコーンをばらまいたそうで、「絶対にもう、映画館でポプコーンは買わんっっ」と、なんやワカラン怒り方をしてたくらいだから、さすが、香港アクションと拍手もしたくなる。ちなみにこの殺陣師とは、2020年のオリンピックの外人客をあてこんで、時代劇のイベント舞台でも創ろうかてな話もしてて、『秘剣鍔鳴り~重 四郎(かさね しろう)忍者斬り』てな、まんまのタイトルだけは考えている。

で、嗣麻子さんのホンは吉川老師の正統を遵守しつつも、斬新な解釈(脚色)をノンシャランと垣間見せるのだが、極めつけは巌流島の武蔵と小次郎の決闘の概念を引っ繰り返したことだ。といっても、小次郎が勝つワケじゃナイんだけど。

まず、沢村小次郎は、登場時に刀の柄を右肩にしていることで、おんやと首を傾げるのだが、たとえば、内田吐夢監督の錦之助武蔵五部作では、高倉健さん小次郎は、伝統に従って、もの干し竿長剣の柄を左肩からにしているのはいうまでもない。あの長さの刀を抜くには、いったん肩に担ぐようにしてそれから抜くので、右肩では都合が悪い、というより抜けないのだ。

ところが、そこは抜け目がナイというか、沢村小次郎の場合、肩からぶら下げているように描かれていて、高倉小次郎のような固定ではナイので、なるほど、あれなら抜けるワナ。

さて、真骨頂。これまで何人もの武蔵と小次郎が巌流島で決闘したが、たった二人、立ち会い人もナシ、というのは嗣麻子さんのホンが初めてで、かつ、士官がどうの、藩の面目がどうのという面倒なものはきれいさっぱり棄てられていて、ただ、二人、「限界の向こうが観たい」という、兵法家の夢のためにのみ闘う。このplot、sequenceには引っ繰り返った。まさにコペルニクス的転換。決闘の概念をコロッと変えられちゃった。見事に。さらに、武蔵は先に一太刀浴びて、苦戦。あの長剣の届かぬところ(つまり、身切りですな)に飛び上がればイイのだと、剣客の本能で飛び上がって櫂を振り降ろすという心情理路がワカルように描かれている。

いやあ、もう、佐藤嗣麻子さんと、西川美和さん、この二人こそ、いまの映画界の武蔵、小次郎ですわ。

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