無料ブログはココログ
フォト

« 涙、壊れているけれど⑪ | トップページ | 涙、壊れているけれど⑬ »

2016年7月 3日 (日)

涙、壊れているけれど⑫

おとこ 純情の

 

森川信というと、『寅さんシリーズ・・・男はつらいよ』の初代おいちゃんなんですけど、彼がコメディアン当時、巡業でいった町、たぶん小さな町だとは思うんですが、すぐ近所にあったデパートの女子従業員を全員妊娠させたというのは、伝説になってますね。

森川信のことは、安吾もエッセイで書いてます。「スゴイ役者をみた」とか、何がすごかったのかはあまり詳しく書かれてなかったんですけど、とにかく驚いたというふうに書いてます。

神代辰巳監督だったと思うんですが、神代監督の日活(にっかつ)ロマン・ポルノはすべて観てます。ファンでしたから。映画のタイトルが何だったか、まあ、タイトルなんてテキトーでしたから、神代さんは「濡れた」ってつけるのが好きだったかなあ。マルキ・ド・サドの原作で『森は濡れた』ってのは、一日でアゲられちゃって、初日に観て正解でした。観たほうも、これ、イカれるんじゃナイかなと心配するくらいの描写でしたから、やっぱりイカれたというか、上映禁止でアゲられました。ですから、それはもう忘却の彼方で風に吹かれてるんですけど、もう一つのタイトル忘却のほうは、落語家の、前座だったか二つ目だったかが主人公で、ストーリーらしきものはまったくないんです。日本は大東亜戦争に突入しているようなんですが、主人公は、そんなことはいっこうに気にしないで、ともかく、出会った女、これすべてに手を出して、出したものは手じゃナイんだけど、ともかく手当たり次第というのはこのことをいうてな具合。なんしろ、〈何の理由もナイ〉んだもん。ちょっとすれ違ったり、道を訊かれたりした程度から、兄弟子の嫁さんとか、お手伝いさんとか、師匠の娘さんとか、片っ端からヤっちゃって、そうしたら、赤紙がきて、出征するんですが、それをバンザイしてみおくる女性たち、つまり手を出された女たちの腹がみんな大きいの。バンザーイっていいながら、女たちがみおくって主人公のモノローグが入ってオワリなんだけど、そのモノローグが「男と女はこれしかないさ」だったと記憶してんですが。戦場に出て行くのも、ちょっと買い物にいくようなシレっとした意味のナイ顔で、「これしかナイ」というのが、「要するに戦争で死ぬしかないさ」にも聞き取れて、ただ、そんだけの映画で、まるでカミュがフザケて書いたような、あるいは、石原慎太郎さんの初期の短編『完全なる遊戯』(これは、名作だと思います)のおフザケモードとでもいうべきか、これこそ、神代監督のサイテー傑作です。大好きな映画です。

アト二日で六十四歳になりますが、これまでいろんなインタビューを受けたんですけど、インタビュアーが女性のときは、「今後、やりたいことってなんですか」という質問に、「出逢った女はすべて、孕ます」と、答えると、「ほんとはなんですか」と冗談扱いされて、もちろん、一度も掲載されたことはアリマセンね。

そこで、あまりにアツカマシイのかと反省し、最近は「出逢った女はすべて」というのではなく、「気になる女は」と、これは、うんと遠慮してるんですよ。おとこ純情の愛の星の夜、なんとなく、現代の女性には孕みたい願望があり、男には孕ませたい願望があるような気がしてならない、が、如何せん「育てるのはイヤ」みたいで、「まあ、三つか、せいぜい五つくらいまでなら何とか面倒みてあげるから、アトは勝手に生きてってネェ」みたいで、そんでイイんじゃないかなと、イイんじゃないのそんで、イイよねえ。

『源氏物語』だって、要するにそういう話じゃないの。(対訳でしか読んでナイけど。イチバン人気は与謝野晶子の訳で、最低作品は、瀬戸内婆というのが、もっぱらの世評ですけどね)。

朝から二度、コンビニスーパー行きましたが、きょうのあの娘は表情が曇っていて、たぶんレディス・デーなんじゃないかなあ。てなこと考えるのは、劇団なんかの座長を長いことやってて、女優の「月」の具合ばかり心配していたからですよ。

性欲というのは、究極(つまるところ)は、孕みたい=孕ませたいという生殖の欲求ですから、この辺りは、アダルト・ビデオの傾向が、そのような作品を多く創るようになってきたところからもワカリマス。かつては結合部分をみせればよかったのが、いくらmosaicを薄くしても、そんなものは見飽きてしまって、cellrentalする場合の選択肢は、女優のタイプに依るというとこらあたりになっている。だいたい、私がそうですから。私、からみのシーンでは、モザイクの部分なんて観ないです。女優の表情しか観ない。だから、女優の喜悦がヨロシイものは、よろしいんです。それを観れば、これはワザとやってる演技(といっていいのかどうか、いわゆるウソ)だなとか、この女優さんは、ほんとにイってるなとか、その程度は、演劇を長くやってきてますからワカリマス。

男も女も、本質的には純情なんです。

« 涙、壊れているけれど⑪ | トップページ | 涙、壊れているけれど⑬ »

映画・テレビ」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 涙、壊れているけれど⑫:

« 涙、壊れているけれど⑪ | トップページ | 涙、壊れているけれど⑬ »