涙、壊れているけれど⑯
なるほど、朝日か
『悪人』をDVDで観て、たぶん、原作はイイんだろうと思ったし、映画だって真面目につくってんだから、悪くないはずなんだけど、どういったらイイんだろ。これ、弘兼憲史さんの『人間交差点』くらいの尺で、さらさらっと読んでたら、胸に迫る感動もんだったろうなと、つまりね、あのね、チャーシューメン頼んだら、フルコースの中華料理が出てきて食わされたみたいな、そんな感じなんですよ。あれだけ贅沢なキャスティングすれば、どんな監督が撮ったって、そこそこの映画にはなりますよ。みいんなハマリ役だし、そのうえ、キチンと演技されてますし、とにかく上手い俳優さんばっかりだから、ね、だからね、ああこりゃよく出来た「お話し」だなあって、な~んか、職業柄そのぶん〈ウソくせえ〉という心情というんですか、嗅覚がして、コミックスの虚構ならこれで充分なんだけど、実写となると、出来すぎ創り過ぎは良くねえなと、そいで最後に流れるロール観てたら、なんだ、朝日新聞のイッチョカミかよ。そいで、すううっと納得出来ましたんっ。何がって、ナニカがですけど。同業種としていうなら、ラストシーンのタクシーの中のせりふは必要なかったなあ。女が献花する、そこで遺族とすれ違う。この映像だけで語れますよ。なのに、そこにレクチャーみたいせりふが入る。あれが、朝日新聞なんだよなあ。ちゃんと面(つら)出してやんの。
長崎が舞台か。なんだか、江戸の仇を長崎で、になったみたいで、このブログも味が良くないなあ。

