でたとこ勝負
ちょいとどこまで お出かけで
月面着陸失敗しまして 女がひとり 泣いております
落とし物はUSB 私の世界のデータです
さがしものなら 隅田川
仕掛け花火の 火の粉をあびて
まぶしいったら ありゃしない
宅配きました 飴のご褒美 ええ いつものように
現世に未練はござんせんと いうんですなあ その
豆苗の小さな花です 道端でひろった娘です
いつもの水割り ドアの把っ手に引っ掛けまして
時間計れぬ 砂時計
ああ 悔しいったら ありゃしない
これでは いつ何処で 死んだらいいのか 困ってしまって
ココロは荒野を 駈けております
ごめんなすって 急いでおります
いいえ 浮いたことなどしちゃいません
振り返れば 出刃包丁
誘っておいて 知らぬ顔
いつものことです もう懲りましたので
潜ってみせましょ 夏まで待てりゃ
それが証拠に 裸足は 人魚の成れの果て
地の果て 氷の海の底
獄(ひとや)に収監されております
あれから 一年 ふた月 三月
律儀に生きてまいりましたが
世間はすっかり 亡んだようで
きょうも 町内会の役員さんが
路頭に迷っておいでです
私は、いままで学んだことをすっかり忘れてしまい、遠いむかしに生きている。
分単位で、相転移して、情緒も思想もはっきりせずになるものだから、こうして、かろうじて、生存の証を刻んでいる。
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