闘病中につき、ちょっと他人の褌をお借りする。
2015年12月1日(火)6時11分配信、ビジネスジャーナル(神樹兵輔/マネーコンサルタント)さんの記事を感想を付けてまとめてみた。
○先頃、米国の国立心肺血液研究所が発表した「高血圧基準値は120未満を目標にするべき」という大規模な研究報告が波紋を呼んでいる。何故なら→日本では一時期「130未満」が基準値となっていたものが、現在、高齢者が血圧を下げすぎると転倒して骨折を招くおそれがあることから、概ね〈140未満〉を目安とする治療が主流。→つまり片方(米国)が下げ、その差が20になった。で、どっちが正しい。患者のみならず、医師のほうが悩む。最近の医師は自分で考えない〈の〉が多いからナ。みなガイドラインだ。
○肥満者の多い米国人との比較が一律に日本人に当てはまるのかは疑問だが、今回の報告は、50歳以上の高血圧症と心筋梗塞のリスク患者9400人への3年間の追跡研究から導き出された(ということになっている)。9400人に対して、血圧を「120未満」に下げる患者と、「130未満」に下げる患者の2群に分け3年間追跡。その結果、「120未満」にした患者のほうが心不全や心筋梗塞、脳卒中の発症リスクが、「130未満」にした患者よりも27%も低かった。→という統計がエビデンス(科学的根拠)なのだが、統計というと、えらくエビデンスを伴っているものに感ずるが、この統計は、この統計であって、別にチガウ統計があれば、チガウ結果が出ているかも知れないのは、統計そのものが〈シュレーディンガーの猫〉と同様に、測定〈結果〉ではなく、測定〈対象〉に成り得るということを思い描かれるとイイ。
→さて、何故、神樹氏がここに疑義を(つまりは半畳入れる)のかというと
○この研究報告を素直に受け止められないのは、これまでの医療業界、製薬業界のさまざまな過去の経緯から、欺瞞的な匂いがプンプンと漂ってくるから。→漂う程度ではナイ。もはや澱んでいる。私(北村想)なんかは、だいぶんに向精神薬で、その実情を目の当たりにしているからな。
○意外に知られていませんが、日本は米国に次ぐ世界第2位の薬漬け国家です。米国の医薬品市場は世界市場の4割弱を占めますが、日本も同約1割を占める薬漬け国家なのです。薬剤費がべらぼうに使われていることが窺われます。→ここは、ちょいと注釈が要る。米国の場合、日本では薬品になっているものが、第3類程度なら、サプリメントとして買える。有名なL-システィン配合のハイチオールは、成分は同等でも日本は薬剤として販売。30日分が2000円、しかも一錠240㎎。これに対して米国のサプリはビタミンCの量は少ないが、システィンは一錠に500㎎。100日分で1380円。半分にして飲むと200日分になり、700円という安価になる。ちなみに、システィンの一日服用基準は1500㎎まで。こういった類はかなりあるとみていい。
○日本の場合、医薬品は約9割が医療機関向けです。国の医療費は年々伸び続け、2014年度には40兆円に達しています。2000年度と比べて14年間で10.5兆円もの増加です。40兆円の医療費のうち、薬剤費の占める割合は、ほぼ4分の1にまで達しています。2000年度と比べ、調剤薬局の薬剤料だけが2倍以上もの突出した伸びを示しているのです。→私の年間の医療費をいうと、たいていの者はビックリする。抗鬱剤や向精神薬は副作用が多く、「うつ病は精神の糖尿病だ」という名言もある。副作用対策のクスリ代がバカにならないのだ。
○もちろん、厚労省もほぼ2年毎に薬価を見直し引き下げに動いていますが、薬剤費は下がりません。業界はジェネリック医薬品の浸透を阻むべく、薬価基準を巧妙にすり抜ける新薬もどきの製品への切り替えで、薬剤費を膨張させてきたからです。→この手口は危険ドラッグの手口とまったく同じだということを留意。製薬業界の狡猾さは、許し難いものがある。
○製薬会社は、どこも儲かっています。景気に左右されない業態である上に、特許切れによる収益減に備え、潤沢な内部留保を活かしての世界市場でのM&Aに邁進しています。
→かつては抗生物質を一つみつけると、その製薬会社は10年は安泰といわれた。しかし、昨今は、合成抗生剤のために、これが出来なくなった。そこで、目をつけたのが、降圧剤やら、生活習慣病という怪しげな病気やら、中でも罪なのが向精神薬なのだ。右を向いても左を観ても、そこいら中の医院、病院が心療内科の看板を追加している。もちろん、これは内科の領分で精神科とは関係ナイが、出すクスリは似たようなものが多い。精神科の入り口が気になる病人は、どうしてもそっちへ行くが、順序としては、まず内科の診断を受け、精神科へ、が正しい。ただし、どちらもマトモな医師による判断に委ねてという条件がつく。
○薬剤費が下がらないもうひとつ理由は、製薬メーカーが医師や医療機関と癒着した関係のなかで「病気の基準値を変える」というマジックを実現してきたからです。高血圧症、糖尿病、高脂血症(脂質異常症) という3大慢性病の基準値は、これまで次々と改訂され、厳しくなってきたという背景があります。
たとえば、日本における高血圧症の患者数は1987年には170万人でした。それが2011年には5.3倍の907万人にまで増えています。同様に糖尿病も、1990年の560万人が2012年には950万人と1.7倍に増えています。高脂血症も1996年の968万人が2011年には1900万人と約2倍以上に増えています。
→もちろん、統計の数字をいじっただけで、〈医学的エビデンス〉はナイ。
○1980年代までは、高血圧の基準は「年齢+90」といわれ、概ね180/100と大らかなものだったのです(旧厚生省)。それが、1993年にはWHO(世界保健機関)と国際高血圧学会が140/90を打ち出したことにより、日本の高血圧症患者数はグンと伸び、96年には750万人を突破しました。→下の数値の90など、ちょっと仕事すればすぐにそうなる。また、私独自で、役者の稽古後の血圧を測定したことがあるが、100以下のものはいなかった。
○さらに2008年には、日本高血圧学会が130/85の数値を正常値と定めたおかげで、患者数は797万人まで膨れ上がりました(14年に140未満に緩和された)。この基準値でいくと潜在患者数、つまり基準値を上回る人の推定は4300万人といわれますから、製薬会社は笑いが止まりません。高血圧症の医療費だけで2兆円となり、そのうちの9000億円が薬剤費となったのです。今では「成人の3人に1人が高血圧症」とWHOも警告する始末なのです。しょせん、WHOも各医学研究団体も共存共栄の構図があるゆえんです。
○高血圧といえば、世界第2位の売り上げ(約500億ドル)を誇るスイスの製薬メーカー・ノバルティスファーマの日本支社で、14年6月に元社員が逮捕され、家宅捜索が行われています。これは、同社の看板薬で年間1000億円を売り上げていた高血圧治療薬「ディオバン(一般名称はバルサルタン)」が他社製品よりも優れていると見せかけるため、大学の研究機関に捏造データを渡して論文を作成させ、それを販促活動に使っていたという不正によるものでした。
このことからも明らかなように、医学界において製薬メーカーは偉大なスポンサーです。研究名目や寄付で医者や研究者を御用学者として手なずけ、学会やセミナーで自社製品に都合のよい発表をさせるなど、相互にズブズブの癒着関係があるのです。
○2011年の製薬メーカーの研究開発費は平均データで売り上げの18%を占め、これは自動車や家電メーカーの3倍強に当たります。他産業と比較して突出して高いことで知られますが、実はこの中に医学界への潤沢な謝金が含まれているのです。
日本製薬工業協会加盟72社の医師など医療関係者への謝金額総額は4793億円です(2013年度)。うち研究開発費が2472億円、情報提供関係費が1405億円、学術研究助成費が536億円、原稿料が267億円、接遇費が113億円です。
医者や医療研究者が、製薬メーカーに逆らえない構図がここにはっきりと見て取れるでしょう。
→世界総ての製薬会社に、年間10億円の法人寄付を『国境なき医師団』に納めることを義務づけたいくらいだ。しかし、そうすればそうしたで、今度は薬価が上がるだけだもんな。