Words of the nincompoop ⑨
○うつ症状のキツイときは、いま、岩を山頂に向けて押し上げているときだと妄想することにしている。しかし、ほんとうに苦しいときは、この岩がビクとも動かなくなるときで、いくら押せど、微動だにせず、裸足(らそく)の足ばかりが、ズルズルと土に滑っているときだ。
○誰にだって、〈都合〉と〈事情〉というものがあるのだ。そうして残念なことに、私たちはその「誰にだって」の〈都合〉と〈事情〉を知ることが出来ない。将棋でも囲碁でも、相手が一手指すなり打つなりするまでは、こちらは動けぬ。〈待つ〉とは一つの修練であり、「後の先」もまたこの〈待つ〉修行から始まる。
○「私にワカラナイのは〈愛〉と〈孤独〉です」というと(よく、そういうシーンがあるのだが)、誰もが妙な顔をする。「独りで寂しいと思ったりしないの」と問われる。この、〈愛〉と〈孤独〉というのは、何やら生きることに於いて重要な事象らしいのだが、孤独というのは退屈とどうチガウのか、また「オレ、あんたを愛してるから、千円おくれ」といえば、千円もらえるのか。
○あるstand up comedian がブラック・ジョークで「自殺しようとしているものに、訊ねたね、何か欲しいものはナイのかって。そうしたら、幸せが欲しいかなって答えたよ」というのをやった。彼はその日で店を解雇になって、けっきょく、その夜遅く、自殺した。
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