And in the End②
朝食、本日はジャムトースト・ヨーグルト・野菜ジュース・カフェオレ。掃除は昨日やったので(二日に一度)。そういや、如月小春が生前、い~いっぱい仕事していたとき、売れっ子の真っ最中、NHKのなんだかの仕事で一緒になったことがあって、「私ね、お掃除好きなの」と嬉々として私に語りかけたのを思い出す。本人にしてみれば、単なるインテリ美女という風評を払拭というか、つまり、優等生で本ばかり読んでいるワケではなく主婦業もやっているのよと、私にそういいたかったんだろう。小春も最初出逢ったときの美少女から小夏くらいの美おばさんになって、体型もふっくらと、あの面影が最後だったな。いまでは私のコルクボード仏壇のひとになってる。このコルクボード仏壇には、若くして逝った知己の写真や遺品が貼ってあるが、下のところには、「国境なき医師団」からの感謝状と、フォスター・ペアレントの里子の写真(二人目・三人目)が貼ってある。亡くなったものばかりに涙していても仕方ない。いま生きているものも「供養」しないといけない。
釈迦の思想については、時系列は必要なときにしか用いない。「気になる・ココロに残った」「腑に落ちた」episode を紡いでいく。だから、いきなりだが、こんな逸話。
釈迦(シッダールタ)が菩提樹の下で禅定し、悟りを開いたとき、といっても、その頃、その木の名前は菩提樹ではなかったんだけど。釈迦が悟ったから菩提樹という名前になったのだから、アタリマエなんだが。そのときのおよそ四週間を四種類の木の下で結跏趺坐(けっかふざ・瞑想する際の座法)して瞑想、自身が悟った真理(法)を受楽していた。これを「自受法楽」というのだが、ひろさちや老師(以降、さちや老師と記述)の説では、「真理を悟るといういい方はおかしい。これだと、真理というものがすでに存在していて、それを感得することになる。従ってほんらいは真理の中に溶け込んでいるといったほうがいい。~無言語状態~」さちや老師のいいたいことは、たとえば、意識というものは私たちの外に在るものではなく内なるものだ。真理というのもその如きものだ、ということだと思う。さちや老師はつづける「われわれは悟りを求めるが、そんなのが実体的に在るワケではナイ。つまり、悟りと一体化したとき、われわれは悟ったことになるのである」。まあ、ともかく釈迦は悟ったと。んで、それを嬉々として楽しんでいたと、そういうことネ。
このとき、梵天(インド神話おける宇宙創造の神、ブラフマー)が現れて、「汝が悟った真理を衆生に説くべきだ」と懇願する。「梵天勘請・ぼんてんかんじょう、といわれる)。
しかし、釈迦はこれを拒否。「この真理は言語化することは難しく、この法を理解することは容易ではナイ」というのがその理由だ(『律蔵(マハーヴァッガ)』)。しかし、梵天はアキラメナイ。「あなたがその法を説かないと、この世は滅びる」と、二度目の出現をする。これも釈迦は退ける。理由はこうだ「法を説いても、相手がそれを理解せず、誤解や反論すれば腹が立つ」、あのですね、悟った者がいうことばにしては、ちょっとオカシイんじゃないかと思われるでしょ。でも、そうじゃナイんですワ。それは次第にワカッテきます。あんまり急がずにリヤカー牽いていきましょう。
さて、ここからは私論が半ばだが、この梵天もまた、釈迦を誘惑した「魔」とちゃうんか、だ。事実、そう記されたべつの仏典も存在する(『マハーバリニッパーナ・スッタンタ』)。すったんたなのだ。んで、三度目、梵天はこんなふうことをいう。私の意訳だが「あなたが悟ったように、あなたと同様に能力、資質のある人間がこの世にも存在するかも知れません。そのものに伝えるってのは、どないでしょう」。そこで、釈迦は、「ほなら、やってみっか」と決意するのだが、この決意にも理由がある。なぜなら、釈迦の思想(法・悟り・真理)というのは、もともとから、ある矛盾を孕んでいるのだ。(ここでいう矛盾といのは、発展の源という意味でけして悪い意味ではナイのだが)。釈迦はそのこと自体を知っているし、すでに未来を見通している。自らが衆生に布教、説法するとどうなるのか、ワカッテいるのだ。つまり、その矛盾を覚悟の上の、決意だ。それは、釈迦入滅(涅槃)のときに、私たちにもワカルようになっている。ついでにいうと、釈迦の死に方は消極的ではあるが自死といえるものだ。
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