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2014年5月29日 (木)

フザケル(『ストレッチポリマーインターフェース』感想)

プロジェクト KUTO-10、ウイングフィールド提携公演、第6回むりやり堺筋線演劇祭参加、『ストレッチポリマーインターフェース』作、林 慎一郎(極東退屈道場)・演出内藤裕敬(南河内万歳一座)。5/25、14:00観劇。
サンプリング(底本)はカフカの未刊の長編小説『城』です。内容は例によって(というか、カフカなら書きそうなというか)「ある寒村の城に雇われた主人公測量士のKが、いつまで経っても城の中に入ることができず、なんだかんだ、ああだこうだ、と、いろいろあって、翻弄される」不条理小説ですが、私、これ、18歳あたりで手にして、途中で面倒くさくなって、投げてしまって、内容は殆ど記憶にありません。要するに「行きたいところに行き着けない」という話です。
ところが、気鋭の劇作家、林 慎一郎は、城に辿り着く方法としてナビゲーターを使うワケです。もう、この着想がフザケていて、瞠目。これが思惑どおり貫徹してフザケられていたら、佳作だったと思われます。演出の内藤裕敬は、ここに(私の思い込み的観方)では、ロッキーホラーショーを導入するワケです。これもフザケてます。
フザケるを漢字で書くと「巫山戯る」になります。語源を調べると『「巫山」は「ふざん」と読む。中国四川・湖北両省の境にある名山である。長江(下流は揚子江になる)が山中を貫流して、巫峡を形成。山は重畳にして天日を隠蔽するといわれる。(つまりデッカイのです)。このようなものと戯れるのはバカな営為だ』。巫山は『昭和維新の歌(青年日本の歌)』の一番にも歌われています。「汨羅の淵に波騒ぎ 巫山の雲は乱れ飛ぶ 混濁の世に我れ立てば 義憤に燃えて血潮湧く」。汨羅というのは「べきら」と読みます。中国湖南省北東部を流れる川です。楚の英雄、屈原が投身した川として有名です。
私の書く戯曲はおしなべて巫山戯てます。フザケるのが好きだからです。それは、私なりの、巫山のごときモノに対する反抗です。バカを承知の営為です。(現在、鬱病で心身がヤバくて、うまくフザケられませんけど)。
で、『ストレッチポリマーインターフェース』は一所懸命、不条理であろう、巫山戯てやろうとしているのですが、空転しています。作者の着想、演出家の発想は悪くナイのに、こういうことは、演劇ではよく生ずる事態です。両者の波動のチガイだと思われます。70分の短い作品ですが、80~90分くらいの作者自身の演出舞台が観たいなあと、そういうのが、自殺念慮(希死念慮ではナイ)と闘っている、いまの私の精一杯の感想です。

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