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2013年10月19日 (土)

同化現象

老化現象というのは身をもって知っているが、最近、この「同化現象」というものの、強度が増してきた。「同化」というのは、演劇でいえば、スタニスラフスキーの主張した、役への入れ込みだが、日常的には、本を読んだり、ドラマを観たりして、その主人公の思いに自分の思いを重ねる、というふうな、誰しもやってるものだ。
誰しもやってるから私もそうなのだが、こいつが、最近、強いのだ。『量子革命』という量子力学の成立史を読んでいると、各々登場する理論物理学者に同化して、その熾烈を極める論理の闘いの渦に巻き込まれる。ここんとこ強いのは『ニキータ』(TVドラマ・シーズン3)で、オレも巨悪と闘わねば、から、このピンチをどう切り抜けるかまで、を真剣に考えてしまう。(このドラマの秀逸な点は、毎回、切り抜けるのが不可能に近いピンチが設定されているところにある)最終話では、およそ最大のピンチ(こんなplot、よう考えよるなあ、オレのホンなんかまだまだアカンわ)をめくるめく切り抜けた主人公たちのグループが、愛の強さがこのピンチを切り抜けた最大の要因だということを確認し、明日への結束を誓うというところで、思わず涙ぐんでしまった。こんなベタなのに。しかし、そのアトのラストのプロットは、次のシーズンにつなげるためとはいえ、蛇足だったと思う。とはいえ、毎度、脱出不可能と思えるsituationに主人公たちを追い詰めるこの脚本はみごとなものだと思う。ふつうでナイのは、日本のドラマなどでは、たいてい一つの解決策があって、それをナントカうまくやり遂げるというふうになるのだが、こいつの脚本家は、そのたった一つの解決策をいともたやすく微塵に消滅させてしまう。頼みの綱を簡単に切ってしまう。さあ、ここからだぞ、と、まるで、挑戦状だ。およそどう考えても主人公たちに勝ち目はナイ。さらに主人公たちが起死回生に打つ手を見透かしたかのように、阻止までしてしまって、さあ、どうなる、とくる。こうなるとコンピュータと詰め碁をやってるようで、もうアキマセン。
「同化」を深めれば、それは、自己が自己に同化していることになるのだが、このへんはやりだすと面倒なので、やめとく。
ひとこと、つけ加えておけば、最近流行りのコミュニケーションの方法論とやらは、ある言語ゲームの集合を逸脱すると、何の効力もナイ。こんなことをいえば、また変に思われるかも知れないが、コミュニケーションというのは突き詰めれば「独り言」なのだ。直接に相手がそこに存在する場合においても、他者を通しての独り言といえる。この最たるものが「沈黙」であるのはいうまでナイ。「同化」はこの「沈黙のコミュニケーション」といってイイ。

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