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2013年8月 7日 (水)

夏の日

ラジオから死んだひとの歌が聞こえてくる
ああ そうですか まだ生きねばなりませんか
焼夷弾の絨毯爆撃で 燃えている夏の日
やけに暑いのは そのためだったか

わたし 自転車で風をきって走っていたつもりが
気がつくと 煮え立った湯の中で
車輪が空回りしている

をみて 目が覚めた
消し忘れたラジオは『懐かしの歌謡曲』という番組を
ゆんべの夜を引きずったまま 流していて
母親が いつもの鍼治療から帰ってきた

ナガサキの原爆で死んだ少女は
幼く美しく 土に敷かれた薄い布切れの上に座っていたが
止まらない水下痢のせいで 数日後に死ぬ
寝坊した看護婦があわててラジオのスイッチを切ると
少女は少し 笑ったそうな
「お寝坊さんね」といったそうな

この水を 少女に飲ませてあげたかった

今度こそ ほんとうに
私は自転車を走らせて補水液はかごの中で揺れる 

夏の日 
いつまでも少年であるために
燃え落ちる得体の知れぬものと 灼熱の瓦礫の中を
もうちょっとだぞ、と
微熱の炎に焦げながら ああそうですか

夏の日
こえねばならない ある風景の 夏の日

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