無料ブログはココログ

« なるほど、ネエ | トップページ | SLOFT/N・総括・アンビバレントなる不幸 »

2012年8月11日 (土)

映画感想『あなたへ』(かなり改訂)

主演、高倉健です。監督、まあ、どうでもイイけど、降旗康男です。この監督打率2割り以下です。だから、私、心配でした。さて、ヒロインが田中裕子、以下、脇を佐藤浩市、草彅剛、余貴美子、綾瀬はるか、三浦貴大、大滝秀治、長塚京三、原田美枝子、浅野忠信、そうして、ビートたけし、と、そうそうたる主役クラスの共演者が並びます。製作プロダクションは東宝映画。原案に相当するものはあるにせよ、この脚本はかなり書きにくいのではなかろうか、と、同業者としては、このメンツをみて思いましたねえ。どなたもおろそかに出来ない。ところが、それが杞憂となる。この映画のホンの成功は、最もはじめにビートたけしを健さんの絡みで登場させたところ。いきなり、モスラ対ゴジラにしたところ。ビートたけしは二度出演、種田山頭火の熱心な読者として、放浪のキャンピングカー・ライフをおくっているという設定。これが、期待通りに引っくり返る。そうなんですね、この映画は何も彼もが期待通りなのです。期待通り、つまり、ポピュリズムの王道。それをひた走るロード・ムービーです。しかし、私個人としては、そんなことはどうでもイイ。どっかの中年、熟年のオバサンのようにハンケチを左手に握りしめ、なんでもないシーン、どうでもいいシーンで、ぼろぼろ泣いたワケです。健さんの役はムショの木工場の嘱託官。急に舞い込んだ、リンパ腫で死んだ妻の遺言の手紙二通を持って、富山から長崎へと旅をする。これだけの主役級出演者を集めたからには、ホンは、エピソードのカタチにならざるを得ない。それを紡いでいくのは、ストーリーではなく高倉健という俳優の存在自体です。ストーリーはいたって単純。しかし単純と簡単は違う。うん、やっぱりストーリーなんてのは単純なほうがいいよな、と私、再確認。もう一つ、極めてせりふが少ない。私たちは健さんを観ていればイイ。健さんがなにかいう、私泣く。健さんが歩く、私泣く。健さんが黙っている、私泣く。健さんが、ともかく私泣く。長塚京三演ずる後輩が、「クラさん」と健さんを呼んで、思わず、クラモチくんのことを思い出して、また泣く。私が高倉健さんの映画を初めて観たのは、後楽園の映画館、1970年代、クラモチくんに連れられて観た『昭和残侠伝』シリーズの一本。
高倉健さん、本年81歳。市川雷蔵とともに、私の胸に熱き深き映画スター。ともかく、健さんリスペクトの映画なんですが、健さんでなければ出来なかった映画です。チャン・イーモーが『単騎、千里を走る』で、俳優高倉健を絶賛したのがよくワカリマス。

« なるほど、ネエ | トップページ | SLOFT/N・総括・アンビバレントなる不幸 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/558792/55400355

この記事へのトラックバック一覧です: 映画感想『あなたへ』(かなり改訂):

« なるほど、ネエ | トップページ | SLOFT/N・総括・アンビバレントなる不幸 »