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2012年4月 7日 (土)

草枕

昔からの知己で、演劇評論家の安住恭子女史から、今度白水社から上梓の「『草枕』の那美と辛亥革命」を献呈されて、手にして戸惑ったのだが、というのも、私は夏目漱石というのは、縁がなかったというか、どうも明治のインテリの大御所というスタイルに邪魔されて、いままでに『坊ちゃん』『猫』『夢十夜』(関係した本なら『漱石と「猫」とニーチェ』や島田荘司の『倫敦ミイラ殺人事件』とか、関川・谷口コンビのコミック『坊ちゃんの時代』は読んでるけど)しか読んでいない。食わずぎらいというのでもナイが、なんだかハナから明治の先鋭たる青年の苦悩を描いた小説なんじゃないかと、そういうのは性に合わないと、けっこうなスタンスを置いていた。で、この本は棚に置いておくかと思ったのだが、著者から『草枕』は『倫敦ミイラ』くらいにオモシロイよと、メールが来て、ちなみに倫敦ミイラは正式なタイトルは『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』という、島田荘司の売り出しの頃の傑作で、私は島田荘司となると、これと『切り裂きジャック・百年の孤独』をベストに挙げるのだが(島田荘司以降の日本の推理小説家の本は殆ど読んでいない。東野圭吾になると、かなりミステリ作家もレベルダウンしているなと思うだけ)、というワケで『草枕』を読んでみて、ついでにコミックまで読んでみて(このコミックもよく描けている)、そのあまりの加速度に吃驚したのだ。漢字の多いディレッタントは適当に読んでいかないと疲れるし、丁寧に読んでも、何のことだかワカラナイのは、時代が違うせいだが、話体に移行するや、加速度が付く。こりゃあ、私がとんでも理論『続・恋愛的演劇論』で述べた、表現の加速度のみごとな具体例証ではないか。私は霊感を得たように、某団体に書き下ろした戯曲を改稿して、送信した。私が吃驚した部分を書くと、ネタバレになるから、ともかく、私のように漱石からスタンスをとっていたひとには、この『草枕』はお勧め(と、漱石知らずの私がいうのはおこがましいが)である。安住さんの著書はその『草枕』のヒロイン、那美のモデルであった、前田卓(つな)の評伝である。ちょっと棚に置いておくのはもったいない、ナ。

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