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2012年3月 2日 (金)

如是想解・38

39 現象としての鬱病
『薬でうつは治るのか?』(片田珠美・洋泉社)によると、うつ病の診断作法として有名なのが、名古屋大学名誉教授笠原嘉(精神科医)による、三つの順序だ。これは従来からあったものだが、まず、①「脳や身体に原因のあるうつ状態でないか」を考え、②次に「ひとりでにおこる内因性のうつ状態でないか」と考え、最後に「心因があっておこっているうつ状態でないか」と考える。つまりうつ病は原因によって、三つに分けられるという提唱だ。
①身体因性うつ病 ②内因性うつ病 ③心因性うつ病
これらは、従来の心因性、内因性、外因性とは概念が異なっているので、まぎらわしいが、①は脳や身体の器質的なもの、あるいは薬物によるもので、最も明確な原因とされている。その一例がマタニティ・ブルー(出産の三日~一週間くらいに出現する、涙もろさ、不安、困惑、集中困難、不眠など)で、原因を胎盤ホルモンの急激なよるものとしている。また薬物というのは、麻薬をいうのではなく、例えば血圧降下剤(β-ブロッカー)や免疫調整薬(インターフェロン)等々を原因とするものだ。また、身体疾患(甲状腺機能障害、性腺機能障害、アルツハイマー)等々も原因となるとされている。
②の内因性は「内部からひとりでに」起こるもので、①や③には該当しないものをいうのだが、「内部からひとりでに」というのは、うつ病にあたかも人格、物象を付与した感が否めない。もし、これを認めるなら、「外部の何かがとり憑いて」という拝み屋の対象ともなる理由をいうことも出来る。およそ、このレベルにおいては問題にならない。とはいえ、これはほんとうは問題にしなければならないものだ。そうして、現在のうつ病治療薬も、多くこの内因性の生ずる脳内物質(神経伝達物質)の制御を主な目的としている。いわゆるセロトニン、ノルアドレリンの再取り込みを防ぎ、その物質を増加させることによる制御だ。
③は心因性という文字が示すがごとく、心理的ストレスというのが原因とされるもので、一発でいってしまえば「失恋」がそれに該る。興をこうじていわないのなら、愛するものの死、別れ、後悔、大きな失敗、等々で、これは、なるほどというほどありそうなだけ、これを原因とすれば、万人共通にうつ病に(一時的にも)罹患、発症しなければならない。だから、原因というよりは「きっかけ」として扱われている。つまり、ほんとうの要因はココロの中にすでに存在していたというものだ。
ところで、私たちは、この①~③を観て、たしかにそういうことはあるだろうが、分類として考えるのには、早計な感を抱く。ある個人のうつ病が、この三種の何れかだというには、納得しかねる。首肯できないのだ。これらは、うつ病のさまざまな現象をとりあげているのに過ぎないのではないかと思われる。(つづく)

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