映画その他
モンテ・ヘルマン監督の「ロマンチック・ミステリー」と銘打った映画『果てなき路』をシネマテークで観る。ミステリ仕立てにはなっているが、この映画をミステリとして観ると、ツマラナイものになる。「謎」がナイからだ。ハナから「入れ子型」の創りであることはハッキリしている。何処までが映画で何処までが現実なのか、というより、何処までが映画内映画で、何処までが映画という虚構なのかが、テレコで創られているからだ。それはさほど巧妙な芸とも思えない。ヒロインにも、劇を引っ張る力量がナイ。「葛藤」や「疑惑」がナイからだ。そういう意味ではストレスの大きな映画だ。私はこの監督のことはまったく知らないが、何やら伝説のひとらしい。だからなのか、「どうだっ」という傑作意識が鼻について、たまらない。「どうとともいえねえな」というしかナイ。
観終わってから、かかりつけの医者に、大腸ガンの便潜血検査の結果を聞きにいく。実はバレンタインデーあたりから、ひどい便秘で、浣腸を二本使っても出ない。下剤を用いて、上っ滑りな便が出るが、残便感がある。デトックスのハーブティーを購入し(これにはたいていのメーカーのものにキャンドル・ブッシュというセンナと科目は違うが効能が同じものが含まれている)。それで、やっと出るには出たが、私はたいていが下痢症で、こういう便秘は初めてのことだ。かつて、角川書店の私担当の編集者を30歳の若さで、大腸ガンで失っているので、一応検査することにした。結果が出るまでの五日間は、便が出ない数日よりも悶々として、もし大腸ガンであれば、というシミュレーションを幾つも考えた。私のような仕事は、代替が利かないナイので、そういうことをやらねばならない。ネットで大腸ガンを調べたが、比較的生存率はイイとある。しかし、これは高額医療をしての上の話だから、いま手持ちの銭が幾らあって、どのくらいの保険適応で、何年いけるかも考えた。何とか2~3年いければ、仕事に一応カタはつけられるなあ、てなことを思ったりした。先年のSLOFTの12月公演前に62㎏あった体重はいま、58㎏だ。これが、ガンのせいなのか、食生活を変えたせいなのかも、判別に苦しむところで、結果が(-)と聞かされるまでは、死刑囚の処刑当日はこんな気持ちで、こんなふうに演技すればイイんだなと、そんなことも考えた。まったく、そういうときまで、演劇のことに取り入れてしまう業も悲しいものだ。先週から、朝食をヨーグルトとハチミツに変え、夜食として何か食べるときは、チーズと納豆にしている。別に長生きしたいという気持ちはナイのだが、もう少し仕事がしたいというところからだ。『贈与交換』についても、新たに考えねばならない部分があるし、『散逸構造』においても、どこで「心」が生じる要素があるのかを考えたい。なにはともあれ、クラモチくんのいってた通り「銭の切れ目が命の切れ目」ということを身に沁みて感じたこの半月だった。

