映画感想『SPEC・天』
困りましたネ。テレビのスペシャル『翔』の前に映画観なければなりません。で、感想書いてしまうとネタバレになりますから、内容については書きません。ただ、この映画が低予算だということはワカリマス。というか、それほど銭をかけなくても、知恵と工夫と技術という監督の才能と、役者のカラダで映画は撮れるということです。充分、撮れます。撮ってんだから。戸田恵梨香さんが、舞台は三年に一回くらいでイイと(『寿歌』の打ち上げで)いみじくも述べられた理由もワカリマス。実に編集が上手い。映画というものは、役者のカラダで撮るもんだということを、最新のtechnologyを使って、(これは、低予算で映画を撮る方法として使えるんです)そのtechnologyをみせずに、ちゃんと役者のカラダをみせてますから。演劇でいうと、演出の痕跡を舞台に残さない、演出をみせないということなんですが。西萩弓絵さんの脚本もイイです。ともかくも格闘のアトがワカル本です。脚本にもちゃんと肉体があります。病ものや、悲恋ものなんて糞喰らえです。悲恋なんてしたことのナイ連中が、したような気になって観る、肉体のナイ、観念だけの映画など、どこに価値あるんですか。「相変わらずバカなことやってます」なんて、堤監督、新国立でちょいと立ち話したとき仰ってましたが、私も、堤監督も、西萩さんも、同世代なんです。ギャグも殆どみんな、その世代にしかワカランものばかりです。それが「バカなこと」というワケではありません。Don Quijoteだって、Hamletだって、「バカ」じゃナイですか。御前会議なんて出てくるんですが、そんな会議、いまの若いひとには何の会議かワカランでしょう。何でそれが出てくるのかも、っとネタバレ寸前です。続編、間違いなくあると思います。ただし、これは知っての上でのことなんでしょうけど(つまりフィクションとしてのことなんだろうけど)、冒頭に「人間の脳は10%しか使われていない」と字幕が出るのは脳科学からきているコトバではなく、単純に譬えとして、アインシュタインがいった(ということになっている。つまり「もっと頭を使え」ということ)もので、脳科学とは何の関係もありません。脳は100%稼働していますが、とはいえ一つのことに100%使っているワケではありません。私の脳はこの映画に100%満足しました。