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2011年10月26日 (水)

なぜ、うつ病が増えているのか

昨今、うつ病の患者が増えているという世相は、いまや女性週刊誌、または服飾系雑誌しか読まないという女性でも(失礼)知るようになった。これは、メタリックシンドロームが増えてきているという理屈とよく似ている。何故なら、メタリックシンドロームなんぞは、10年ばかり前までは、無かったからだ。ズボンの腹部サイズが84センチ以上になると、メタボだという定義を誰が、何の根拠で設けたのか、私たちは、まったく知らない。それ以前はコレステロールの値が問題にされていたが、これも善玉と悪玉に分けられ、いまでは、それも無くなって、さらにコレステロールの値すら、あまり問題にされなくなった。
うつ病も同じで、四半世紀前までは、鬱病などという書けそうにもナイ漢字の疾病は世間には無かった。病気はあったかも知れない。「気うつ」というのは、古典落語にも出てくる。病気は疾病ではナイ。恋の病が疾病でナイのと同じようにだ。疾病は医学的なカテゴリーだ。うつ病は、その疾病として、ここ10年、増えてきたといわれているのだ。私は27歳のときにその診断を下されたが、疾病としての病名は「鬱病」ではなかった。「うつ性心気症」というものだったと記憶している。私はその病気で1年苦しんで、精神科を受診し、そこでいまでいう抗鬱剤を処方されて、次の日には劇的に、症状が消えた。クスリが効いたということだ。それからしばらくそのクスリを飲み続け、一旦、服用をやめることになるが、再発した。今度は内科の医院を訪れたが、抗鬱剤も安定剤も処方されず、けっきょく、また苦しんで我慢して、やっとこ、いまの神経科クリニックで抗鬱剤を処方してもらった。当時は三環系の薬剤しかなく、これは効果が出るまで一週間待たねばならぬのに、副作用はすぐにくる。この副作用が辛い。たぶん、ここで投げる患者も多くいただろう。そのうちにやっと日本でも認可されたのがSSRIというセロトニン再取り込み阻害剤だ。これはルボックスという商品名で、天使の薬という触れ込みだった。効果は三環系に及ばないが、副作用が少ないのだ。ここから、次から次へと、この系統のクスリが出始める。つまり、うつ病患者が増加してきたというのは、医者が、抗鬱剤を患者に用いることが多くなってきたと同義なのだ。では、うつ病とは何なのか。抗鬱剤の処方は、DSMというマニュアルのガイドラインに沿って行われる。これはⅠから始まって、いまはたぶんⅣあたりまでになっている。ただし、精神医学者スコットはこう述べている。「うつの概念はあいまいなままである」「マニュアルに従って、よりよく治療することはできる。だが、何を治療しているのかは、ますますわからなくなっている」・・・いい得て妙とはこのことだ。増えて当然。かつては、なんだかワカランものに対して医師は、自律神経失調症という診断を下していた。で、安定剤を処方。これが、いまはうつ病に変わっただけだ。ニーチェは、それらをこの社会の「病(やまい)」だとした。つまり、この先200年は続くであろうニヒリズムだと、した。そうすると、うつ病というのは、ひとがこの社会から受け取ってしまっている疎外だということになる。もしくはこの社会と対峙して作った自らの疎外だ。であるならば、それなりの闘い方は在る。私もそれなりに闘っているつもりだ。

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