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2011年10月29日 (土)

秋のプール(改)

すっかり ひとけの無くなった 秋のプールは
さざ波もたてずに 沈黙している

夏のあの 中学生の少年少女たちの
嬌声を憶い出しているのでもなく
それらは 水底に深く沈めて
ただ 次の夏への準備のために
人知れず ゆっくりと水流を起こして
胎水のように 未知の生命を育んでいる

もう その時間を終えた 廃墟の貯水池として
忘却され 失われて
学校という閉ざされた楽園に 静かに潜んでいる

そのようなものなど この世にはなかった

子供たちは プールのことなどすっかり忘れ
音楽室で コーラスを歌う
ときおり そのなかのひとりが 
何かしら得たいの知れぬ不安におそわれ
コーラスの楽譜を落してしまい 他の生徒から笑われると
そのこは、つくり笑いをして
さとられぬように 窓からプールを観る

少年少女の 夏の歴史がひとつ終わった

進化の秋も やがて黄昏に還っていく
未だ水だけを湛えたプールとともに

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