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2011年8月 3日 (水)

SLOFT通信・8

上達の過程(process)を、位相幾何学(トポロジー)で説明する。今日は今枝が休み。とはいえ、この情報はお嬢様たちのメール交換で届くに違いない。『希望』を岸洋子さんのものと、『赤い鳥』のコーラスとで聞き比べる。音調と口調を歌でもう一度解説するため。さらに、遅れてきた加藤に理解しやすいように。ここで思い入れたっぷりの表現の岸さんと、抑制された『赤い鳥』の表現が、それぞれもたらす作用(効果)を演技のせりふに当てはめて考えてもらう。
そのアト、演じることと、演技とのチガイを解説、演技術というスキルを幾つか教える。女4と女3に長ぜりふを読んでもらう。女4谷口は器用なので、即座に演出の注文に呼応出来る。しかし、器用と上手いはチガウ。ヘタなのではナイが、せりふとのstanceをみつけるのに難しい。
女3加藤は、ちょうど他の連中が稽古を始めたあたりの様相で、来週読み合わせを続ければ、追いつける。その加藤から質問「ある演出家が、演技のtextは作れるという意見だったんですけど、どうなんでしょうか。私は出来ないと思っているんですが」自分自身の意見を加える質問の仕方はイイ。質問には即断で「出来ます」と答える。それから、演技者の普遍性と固有性について、素材が表現に優先するというところを踏まえ、「ただしそれは、あなたがあなたのテキストを作ればということに限ります」と付け足す。スタニスラフスキーにしても、リー・ストラスバーグにしても、他のどんなシステムやメソッド、演技上達の本も、著者は意識の中にある一定の演技者を想定してしまう。その演技者が上達する過程を描くだけだ。伝統芸能の場合、一子相伝だが、どんなに従順な演技者に対して、最も強制力の強い指導者がこれを指導しても、演技者は必ず、その指導者の思い通りにはならない、ということを、今度は、ごく簡単にカント哲学とヘーゲル哲学を用いて解説する。稽古時間が終わると、お嬢さんたちは挙ってみな煙草を吹かす。そこんとこの絵柄だけ、なんだか、いっぱしの女優にみえてしまう。

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