ぼくがこどものころ
ぼくがこどものころ ちいさなみちをはさんで
となりにてっこうしょがあった
あさからおおきなおとがしていたのだけど
なにをやってるのかぜんせんわからなかった
がしゃんがしゃん しゃああんしゃああん
いちにちじゅう てっこうしょはおとをたてていたけど
うまれたときにはもう そこにあったから
なにもうるさくなかった
ずっとうたをうたいながら しごとしてるひともいた
ゆうがたになると てっこうしょのひとのしごとはおわる
というより てっこうしょのしごとがおわると
ゆうがたになって てっこうしょのひとは
みな ぬかとせっけんでてをあらってわらっていた
ぼくがこどものころ おとうさんもおかあさんもいなかった
おばあさんだけが はたけしごとをしていた
よるになると おとうさんもおかあさんもいて
よにんはひとつのたたみのへやで
ひとつだけあるでんきゅうのしたで
ラジオをきいていた
ぼそぼそとなにかしゃべっていたけど
なにをしゃべっていたのか おもいだせない
ぼくがこどものころ ばんごはんのおかずは
おとうさんと ぼくたちとはちがっていた
おとうさんはテキというのをたべ
まぐろのおつくりをたべた
ぼくはまいにち おとうさんになぐられたけど
おとうさんは ぼくをなぐっても
テキやおつくりがたべられるからいいなと おもった
ぼくがこどものころ ぼくはこどもだった
愛は追憶の中にしかない
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