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2011年4月21日 (木)

『孫文の義士団』革命未だ成らず

19日に『孫文の義士団』の試写を観たいために名古屋へ、で、ついでに(というとイカンのだけど、こっちの予定がアトだったので)中日(東京)新聞の記者から、連載インタビューの取材をヒルトンで。こういう取材は、たとえ900円の珈琲を飲んででも、ヒルトンクラスにしたほうがいい。ともかく、うるさくない。豪奢な応接セットにたった二人でふんぞりかえりがら、楽ちんこの上ナシ。
二時間半の取材を終えて、マスコミ試写室へ。この映画、やたら長くて2時間20分。しかし、よく中国でこんな映画が創れたなあと、感心至極。話の内容はいたって簡単。孫文が革命蜂起の同志との会議を香港で行う1時間。清朝からは、それを阻止するために西太后の命を受けた500人の孫文暗殺団が送り込まれる。従って、これと、孫文を守るための8人との闘い、そんだけ。と書くと、いつものカンフー武侠映画かと思われるのだが、そうではナイ。これはこれで、一つの「革命」の映画なのだ。ナントならば、革命資金の援助をする商人と、その息子で孫文の革命思想に影響を受けている二人以外は、自分たちが誰を守って(いや、何かを守って)いるのかさへ知らない。ドニー・イェン演じるところの男は、スパイ警官で博打狂いがために8年添った妻に離婚され、その妻だった女性は(サントリーの烏龍茶のCMで稼ぎながら、いや、これは、まあ、あのCMでお馴染みということネ)その商人の息子の妻になっている。幼い娘がいる。ドニーに夫を守って欲しいと頼みに来る。もちろん、ドニーは断るが、娘が自分の実の娘だと知るや、娘のために、その仕事を引き受ける。孫文のことなど何も知らない。レオン・ライ演じるのは、クンフーの達人だが、父の後妻を愛してしまったため、いまでは乞食となって、阿片を吸っている。これに阿片の金を恵んでやっているのが、かの商人。レオン・ライは、その商人からの依頼で、1時間の仕事を引き受ける。いわゆる恩返しと、死に場所を求めて、だ。彼ももちろん孫文のことは知らない。商人のところで車引きで働くニコラス・ツェー、この男は文盲だ。だが、恋している写真屋の娘とのあいだを商人が金を積んで取り持ってくれたこと、それまでの恩、息子との友情で、孫文の替え玉の車を引く仕事を買って出る。それが終われば、写真屋の娘と結婚なのだ。孫文の「そ」の字も知らない。クリス・リーは、父親を暗殺団に殺されて、復讐のためにこの任につくが、彼女もまた孫文の思想もへったくれも何も知らない。メンケ・バータルにいたっては、豆腐屋だ。ニコラスとの友情だけで、この仕事の仲間に入る。孫文、知るワケがナイ。で、この、何も知らない人民は、1時間の孫文を守り抜いて、全て死ぬ。だいたい、暗殺団はプロなのだから、豆腐屋や車夫が相手になるワケがナイ。ここにこの映画の描く「革命」のオモシロさが潜んでいる。また、革命とは何かという問いかけと、答えの一つが現されている。つまり、「革命」のためには、かくなる義士たる人民もまた必要不可欠な条件であるという比喩だ。「革命未だ成らず」と、いい遺して孫文は歴史の上では死んでいるが、この映画のラストシーンは孫文のアップ、涙ぐむアップだ。清朝は倒れた、そうして孫文の国民党は台湾へ追いやられた。その後、毛沢東を経て、おい、いまの中国だぜ。たしかに、革命未だ成らず、じゃないのか。

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